米朝会談実現の引き金?!北朝鮮に対する経済制裁ってどんな感じなの?

皆さんこんにちは!

最近ニュースで北朝鮮がアメリカと対話を行う意思を表明したことが大きく報道されました。

これに対しトランプ大統領経済制裁が効果を発揮したとコメントしていました。

しかし、経済制裁が何かは分かってはいるものの、具体的に北朝鮮に対してどのような制裁をしていたのかについては筆者はよく知らないなーと最近感じました。

そこで改めて、北朝鮮に対する経済制裁とはいったいどのようなものなのかなのについて今回は見ていきたいと思います! それではレッツゴー!!

 1. 経済制裁って何?

  北朝鮮に対する具体的な制裁を見ていく前にサクッと経済制裁についてその定義を確認しておきましょう!

 経済制裁(けいざいせいさい、economic sanctions)とは、経済の力をもって制裁を加える国家行為である。ある国の行った不当もしくは違法な行為に対して行政府や議会などが民間企業や大衆に呼びかける道義的ボイコットから、封鎖海域や港湾などを設定し、同区域を航行・停泊する商船に臨検を行い、敵性国家に所属する貨物等を拿捕・没収するなど、さまざまな手段がある。また資産凍結など金融制裁の手段がとられることがある.[1] :Wikipedia

やはり、簡単に言うと経済的にある国に圧力をかけるという感じですね。

 

2. 北朝鮮に対する経済制裁の歴史

 次に北朝鮮に対してこれまでどのような経済制裁が行われてきたのかについてみてみましょう。

ア)国連安保理決議

 1. 安保理決議 第1695号(2006年)…2006年に北朝鮮が行った弾道ミサイルの発射実験に対して採択。核や大量破壊兵器に関する資金や物資の移動の凍結を各国に要請

 

2. 安保理決議 第1718号(2006年)…2006年の核実験に対して採択。安保理や制裁委員会が指定した人物の資産凍結。

 

3. 安保理決議 第1874号(2009年)…2009年に行われたミサイル発射実験に対して採択。安保理決議第1695号の要請を要求に格上げするとともに北朝鮮への援助の凍結。

 

4. 安保理決議 第2087号(2013年)…2012年のミサイル発射に対して採択。第1718号における指定私人の追加。

 

5. 安保理決議 第2094号(2013年)…2013年の核実験に対して採択。第1874号の要請を決定に格上げ。資産凍結の指定人をさらに追加。国連加盟国内での北朝鮮の銀行・合弁会社などの設立禁止を要請。

 

6. 安保理決議 第2270号(2016年)…2016年の弾道ミサイルの発射に対して採択。第2094号の要請を決定に格上げ

 

7. 安保理決議 第2321号(2016年)…2016年に行われた核実験に対して採択。内容は安保理決議議2270号の強化。

 

8. 安保理決議 第2356号(2017年)…繰り返されるミサイル実験に対して採択。金正恩の資産管理に関係のある個人や団体の資産凍結と海外渡航の禁止。

 

9. 安保理決議 第2371号(2017年)…ICBM大陸間弾道ミサイル)の発射に対して採択。北朝鮮から石炭や鉄および鉄鉱石、鉛および鉛鉱石、海産物を輸入することを禁止する。追加的な北朝鮮労働者の雇用、北朝鮮との新規の合弁企業もしくは共同事業体の開設または既存の合弁企業の拡大を禁止。

 

10.安保理決議 第2375号(2017年)

安保理決議第2375号は最も最近の北朝鮮に対する安保理決議であり、トランプ大統領北朝鮮を対話のテーブルにつかせるために効果があったとしている経済制裁です。

この経済制裁は2017年にその採択をめぐってかなりニュースになっていたと思いますが、一体どのような経済制裁なのでしょうか?

主な制裁は以下のようなものになります。

 

1. 北朝鮮への石油類輸出上限を設定

原油の輸出は現在のレベルを維持する。精製油は年間200万バレルの上限を設定。

この制裁により石油精製品の約50%原油供給量の約30%が減少するとされている。

2. 繊維製品の輸出禁止

北朝鮮の繊維や衣類の輸出全面禁止。

2016年の北朝鮮の繊維製品の輸出は7億5200万ドルで、輸出全体の約25%を占めている。

3. 北朝鮮労働者の雇用に関する承認制

北朝鮮労働者の雇用や、契約期間に関しては受入国の通知と国連安保理による承認が必要になる。

  (ほかの制裁と詳細はこちら:http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000292227.pdf )

 

これら一連の経済制裁による北朝鮮への影響は貿易による利益の約3分の1に相当するといわれています。

 しかし、もともとこの安保理決議では交渉の段階では石油の禁輸が目玉案として注目を集めていたものの、あまりにも強い制裁は北朝鮮の暴走を引き起こすといった意見や、加盟国間でも特に中国やロシアとの間において意見の対立があり、この安保理決議には盛り込まれませんでした。

イ) 日本独自の制裁

国連安保理による制裁に加えて日本が独自に課している経済制裁もあります。

 

 ○ 北朝鮮当局の職員の入国は原則として認めないこととし、その他の北朝鮮からの入国についても、その審査をより厳格に実施。また北朝鮮船籍の船舶が我が国港湾に入港する場合であっても、その乗員等の上陸については原則として不許可。

 

 ○在日の北朝鮮当局の職員による北朝鮮渡航先とした再入国は原則として不許可。

 

 ○我が国国家公務員の渡航を原則として見合わせると同時に、我が国からの北朝鮮への渡航自粛を要請。

 

 ○我が国と北朝鮮との間の航空チャーター便については、我が国への乗入れを不許可。

 

 ○北朝鮮に関するミサイル及び核兵器等の不拡散のための輸出管理に係る措置を引き続き厳格に実施。

 

■核実験を踏まえた制裁措置
2006年10月、2009年5月、2013年2月の北朝鮮の核実験を踏まえ、以下の措置が講じられ、単独制裁措置が強化されました。


1 北朝鮮籍者の原則入国禁止  


2 すべての北朝鮮籍船の入港禁止


3 北朝鮮を仕向地とするすべての貨物の輸出を禁止

 
4 北朝鮮を原産地又は船積地域とするすべての貨物の輸入を禁止

 
5 北朝鮮と第三国との間の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(仲介貿易取引)を禁止

 
6 輸入承認を受けずに行う、原産地又は船積地域が北朝鮮である貨物の輸入代金の支払の禁止

出典:安全保障貿易情報センター

 

 3. 筆者談

北朝鮮への経済制裁米朝会談の引き金となったのかに関しては色々な見方があると思うが、会談が行われることになった事はとても良かったと思う。しかし、ここにおいて注意していかなければならないことは北朝鮮が何を狙いとして会談に臨んでくるのかという事である。

金正恩委員長は非核化も視野に入れて交渉に臨むとしているが北朝鮮にはこれまで何度も約束を破られてきた。来る会談も単なる政治的パフォーマンスとして利用される可能性がある。また、仮にミサイルの開発が実践レベルで完成しているとするのであれば、非核化を餌に朝鮮国内の経済発展を進め、その後再び核武装することも可能だろう。

そんなことになった場合、国際社会が彼らに譲歩するのはアホすぎる。加えて、中国やロシアと言った国の動向にも注視する必要がある。

なぜなら、北朝鮮のミサイル開発のスピードは彼らの援助がなければ不可能なものだと言われているからだ。北朝鮮に対し利用価値を感じている彼らが北朝鮮とアメリカの接近を静観しているとは思えない。

今後、会談において北朝鮮経済制裁の緩和を要求してくるだろう、しかし彼らが本当に非核化を実現するのか慎重に見極め、それが完全に達成されるまでの圧力ではなく、彼らが非核化したとしてその後再び再核武装化した時のことまでを考慮に入れた圧力を国際社会として目指していかなければならないと思う。