日本的企業経営の問題点とは?!海外企業と日本企業のトップマネジメントを比較してみよう!

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皆さんこんにちは!

近頃、日本企業の不祥事が頻繁に報道されていますが昔から日本の企業の中には不正行為が伝統化している企業があるとは言われていたことでした。

このことにおいて筆者は、やはり企業の不祥事に関しては企業のトップマネジメントが大きな影響を持っていると考えています。

よって今回は、日本企業と海外企業のトップマネジメントを比較してみたいと思います! それでは行ってみよー!

1. 二つの企業観(アングロサクソン型とライン型)

具体的なトップマネジメントを見ていく前に、まずは二つの基本的な企業観をご紹介しておきたいと思います。

理由は、これらの企業観が会社のマネジメントの方向付けに大きな影響を持っているためです。

ア) アングロサクソン型企業観

アングロサクソン型企業観とは、主にアメリカやイギリスの企業経営における文化や慣習を総称した企業観です。

この企業観の特徴は以下になります。

  1. 株主・従業員・消費者・サプライヤーなどたくさんの利害関係者(ステークホルダー)がいる中で、企業の経営資源を重点的に株主に配分する。(株主重視型経営)
  2. 株主重視の為、経営トップに権力が集中しないようにシステムが構築される。
  3. ステークホルダーに対する企業の透明性が高い。
  4. 株主のために短期的な利益にとらわれやすい。
  5. 企業の業績悪化によるしわ寄せが現場に行きやすい
  6. 金融市場を中心とした直接金融型である。

イ) ライン型企業観

ライン型企業観は主にドイツの企業経営における文化や慣習を総称した企業観となります。ちなみにラインというのはライン川を指しています。

この企業観の特徴は以下になります。

  1. アングロサクソン型と異なり株主以外のステークホルダーに対しても均等に利害配分を行う。
  2. 賃金や雇用における格差が小さい。
  3. 長期的な投資をしやすい。
  4. 企業の意思決定は従業員との協議による(共同意思決定
  5. メインバンクを中心とした間接金融型

ウ) 日本の企業観

日本企業における企業観は、従業員と経営者を中心として様々なステークホルダーに配慮するといったものであり、ライン型企業観に近いものだと考えられています。

実際、日本では終身雇用や年功序列、企業別労働組合などが慣例とされてきました。

2. 日本と海外のトップマネジメント

それではここからは、それぞれの企業観の代表であるアメリカとドイツ、それから日本企業におけるトップマネジメント構造を見ていこうと思います。

ア) アメリカ企業のトップマネジメント

アメリカ企業のトップマネジメント構造では、株主総会によって選任された外部取締役会を中心として構成された取締役会監査役を担い、最高経営責任者(CEO)を中心とした執行役員業務の執行を行っていきます。

つまりは、取締役と執行役が分離しています。

しかし、実際上アメリカの大企業なんかでは執行役と取締役を兼任しているケースも多く、取締役と執行役の間のなれ合いを批判する声もあります

イ) ドイツ企業のトップマネジメント

ドイツ企業のトップマネジメント構造の特徴はまず初めに、アメリカ企業のように取締役と執行役が分離している点にありますが、アメリカ企業とは異なり執行役と取締役の兼任は認められておらず、監査業務と執行業務がなれ合いなく完全に分離されています。

加えて、もう一つ大きな特徴として監査役員の人的構成が資本側と労働者側でで半数ずつに構成されているという点です。これは、ドイツ企業におけるライン型企業観を色濃く反映した物となっています。

ウ) 日本のトップマネジメント

 日本の公開会社におけるトップマネジメント構造の特徴は、法律上最高意思決定機関としての株主総会、執行及び監査機能を兼任している取締役会、業務監査を担当する監査役会を必要機関としているものの、実情は任意機関である常務会が大きな権限を持っており取締役会が事実上の事後承認機関となっているというものになります。

3. 日本企業トップマネジメントの問題点は? 

現在日本企業におけるトップマネジメントにはどのような問題があるのでしょうか。

これに関しては検証する人によって様々な意見があると思われますが、筆者が考えるのは、上でも挙げたように常務会が大きな権限を持つようになるシステムだと思います。

日本では役員のポストは昇進の先にあるものとされています。それ故、人事権を掌握している代表取締役の顔色をうかがうような人たちが役員のポストに就くことが多くなっていきます。

常務会は会社内の役付きの人たちによって構成されるわけですが、以上の理由から構成員の人には取締役の顔色をうかがう、なれ合いの文化が醸成されてしまうリスクが発生します。

加えて、昇進の先に役員があることは常務会の構成員は企業経営に詳しい人間が必ずしも努めているわけではなく、単に仕事で成果を出したから役員になり常務会という会社の重要意思決定に関わることになったという可能性が出てきます。

これらの問題を解決するには、常務会における人選や人材育成に配慮する必要と監査機能を独立した機関として設置することが求められるでしょう。

やはり、常務会のような経営に大きくかかわる意思決定機関には、単に役員であるからという理由で構成員とするのではなく、長い時間をかけて企業経営のスペシャリストとして育成した人物が専門的なアドバイスを積極的にできるような形で構成員を選出していく必要があると思います。

また、日本では取締役会が執行と監査を兼任しています。常務会が大きな権限を持っている状態ならば監査機能は独立した機関として設置しておくことで常務会とのなれ合いを避けることが出来るでしょう。

もっとも、神戸製鋼の不祥事では外部の監査組織の能力について疑問の声もあがっており、どのように効果的な監査部門を設立していくのかが日本企業におけるもう一つの課題と言えるかもしれません。

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

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