『ウォール街のランダムウォーカ―』備忘録⑮第十四章後半(ウォール街に勝つための三つのアプローチ)

皆さんこんにちは。

 

この記事は、『ウォール街のランダムウォーカ―』第十四章(ウォール街に勝つための三つのアプローチ)の備忘録になります。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

備忘録⑭に続き、第十四章後半という事ですが。

 

ここでは、第十四章の最後に書いてあった内容について主に見ていきたいと思います。

 

まあ、

全体のまとめみたいなものと思っていただければ結構です。

 

それでは、『ウォール街のランダムウォーカ―』の内容を振り返っていきましょう。

 

ウォール街のランダムウォーカ―』の構成

 本書はどのような構成で、どのような内容が書いてあったのか覚えているでしょうか。

 

復習のつもりで簡単に振り返ってみましょう。

 

ウォール街のランダムウォーカ―』の物語は、ランダムウォークという概念を説明することから始まりましたね。ランダムウォークとは、物事の過去の動きや方向性を予測することは不可能であるという考え方の事でした。

 

その後は、ファンダメンタル分析テクニカル分析の土台となる二つの伝統的な資産評価方法について見てきました。ファンダメンタル学派と砂上の楼閣学派です。

 

第一部の後半と第二部においては、二つの伝統的な価値評価や、テクニカル分析ファンダメンタル分析を用いても市場平均に勝ち続けることは不可能であるという裏付けを学び、リターンに対しては相応のリスクをとる必要性があるとの結論に至りました。

 

第三部では、リスク評価の難しさについて学びました。現代ポートフォリオ理論を軸に分散投資のリスク低減効果やベータというリスク尺度について学びながらも、結局リスクを絶対的に計る尺度は存在しないことを確認しましたね。

 

第四部では、それまでの内容を踏まえて実際にどのように投資をすれば良いのかという、具体的な投資のヒントを学びました。インフレと金融資産の関係、投資家のライフサイクルとリスク許容度の関係、インデックスファンドによる投資の有効性などを確認することが出来ましたね。

 

マルキールさん最後の提言

ウォール街のランダムウォーカ―』を読んで、私がマルキールさんの言葉の中で心に残ったものをいくつかご紹介します。

 

”ある意味で株式投資は、男女の道に似ている。結局のところ、株式投資はある種の特殊な才能と幸運という神秘的な力の助けを必要とする、一種のアートだからである。”

 

株式投資においても、実力の差はもちろんあるでしょう。しかし、マルキールさんがこの言葉の中で言っている通り、結局はめぐりあわせによるところが大きいのだろうと思います。気になるあの人に好意を持ってもらえるよう努力することはできます。とはいえ、結局のところその意中の人が振り向いてくれるかどうかは神のみぞ知る事なのでしょう。

 

”投資の勝ち負けについて十分理解を深めてゲームに参加し、少なくともポートフォリオの中心部分をインデックス・ファンドにしておけば、余裕を持ってゲームを楽しむことが出来るというものであろう。”

 

ランダムウォーク理論のエッセンスが詰まっている言葉に感じます。過去の事象から未来を予想することはできません。しかし、市場に乗って長期的に投資するのであれば十分な収益を上げることは可能である確率が非常に高いのです。そして、少なくとも死なないという最低条件はクリアできるでしょう。

 

”もし道端に一〇〇ドル札が落ちているとしても、長い間、誰もそれに気づかないという事はありえないのだ。”

 

値動きはランダムであるというのがランダムウォーク理論の主張するところです。しかしとはいえ、マルキールさんは市場の中である一定のパターンが見えてくる可能性を排除しているわけではありません。市場にパターンが見えてくる可能性はある、しかしそのようなパターンは長期的には自壊するものであり、そのチャンスを利用して超過リターンを確実に上げようとするのは、現実的で無いというわけです。

 

編集後記

1973年の初版以来、全米累計150万部を超え、「投資の名著」として絶賛されるベスト&ロングセラー、『ウォール街のランダムウォーカ―』について見てきた。本書の主張は「インデックスファンドへの投資がベスト」というシンプルなものだが、類書と異なり詳細なデータに裏付けされて「どうしてほかの投資方法によりもインデックスファンドへの投資が良いのか」、という題への丁寧な説明がなされている。金融における知識がなくてもすらすらと読めるよう書かれている点も非常に親切である。

 

とは言え、単にインデックスファンドのメリットだけが書かれているわけではない。インデックスファンドによる投資を薦めるという事は、即ち「短期間でお金持ちになる」方法は夢の中の話だと強く読者に印象付けることが出来る。投資とは自己責任である。これは絶対的な原則としてこの先も続いていくはずだ。しかし、最初は誰だって初心者であるし、投資によって財を成すという華やかなイメージは誰もが一度は抱いたことがあるはずなのだ。特に、現代社会において投資における一番の問題は、投機と投資の違いをはっきりと区別できていない人が多すぎることである。これらの認識のずれは、自己の資金を過度なリスクにさらし、実生活に多大な影響を与えることになる。

 

ケインズの投資のアドバイス「もっとワインを飲め」、すなわち投資とは目的ではなく、あなたにとっての目的は実生活を生きる事である、という言葉が指しているものが全てであろう。

 

ウォール街のランダムウォーカ―』は、投機と投資の違いから投資との向き合い方に至るまで、現実的な方針を示してくれている。これは、単純に投資家の運用方針に関する内容ではない。「社会人としてお金とどのように付き合っていくべきか」という疑問に対する素晴らしい回答でもある。

 

税金、利子、手数料が与える影響。お金は長期的かつ計画的に増やすもの。ライフサイクルとお金の関係。特にこれらの内容は社会の教科書にでものせて義務教育で学んでも良いレベルだ。それくらい社会人として生きる上での重要なアドバイスである。

 

それ故、

私は、本著を「投資の本」ではなく、「一般教養の本」としてお薦めしたい。生きる上で一度は必ず読むべき本であると強く感じる。あなたの今までのお金との付き合い方に大きな影響を与えることになるだろう。興味があれば一度手に取ってみて頂きたい。

 

最後に、

ここまでお読みくださった読者の皆さんに心からお礼を申し上げるとともに、この備忘録は投資の誘引、投資手法の解説、本著の正式な解説を提供する目的は一切なく、個人的な感想と解釈を書き留めた備忘録であることを申し上げておきます。本著に関しては必ずご自身の手で情報を確認していただきますよう伏してお願い申し上げます。

 

ありがとうございました。

 

ウォール街のランダムウォーカ―』に興味のある方へ