資産運用の名著『敗者のゲーム』要約・備忘録④第四章(「ミスターマーケット」と「ミスターバリュー」)

皆さんこんにちは。

 

この記事は、『敗者のゲーム』第四章「ミスターマーケット」と「ミスターバリュー」の備忘録になります。

 

 

備忘録①は以下よりどうぞ。

jeconomy.hatenablog.com

 

 

本著について

 

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内容(「BOOK」データベースより)
投資で成功するというのは、難しい証券分析などの専門知識や経験を身につけることではなく、ましてや短期的に市場を出し抜こうとすることでもない。市場平均利回りを上回る(=市場に勝つ)ことがきわめて難しくなった今、最も簡単かつ結果の出る方法は、インデックス・ファンドを活用することである。全米累計100万部を超えるロングセラーの最新版。プロ・アマ問わず幅広い投資家に向けたメッセージとして、時代を超えて読み継がれる運用哲学のバイブル。

著者

チャールズ・エリス Charles D. Ellis1937年生まれ。イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀のMBAニューヨーク大学Ph.D.取得。

 

 

 

ミスターマーケットとミスターバリューとは?

まずは、この章で取り上げられている「ミスターマーケット」と「ミスターバリュー」について簡単に学んでいきましょう。

 

①ミスターマーケット

ミスターマーケットとは、特定の人物を表しているわけでも、証券会社の営業員を指しているわけでもありません。株式市場の変動を擬人化した寓話です。


ミスターマーケットは、頼んでもいないのに、毎日やってきます。何度断っても、次の日には違う株価で株の売買を持ちかけてきます。ミスターマーケットは、気まぐれで感情的な行動をとりがちです。株式市場が暴騰している時は、未来がバラ色で素晴らしいとして高い値段で株式を売りつけにきます。また、株式市場が急落した場合は、落胆して安い値段で株を売りつけにきます。こうして株式市場は、しばしば理性を失い強気相場や弱気相場となります。

 

本文の内容も見ておきましょう。

 

ミスター・マーケットは精神的に不安定で感情的な行動をとりがちだ。有頂天になったかと思えば、落ち込んで絶望的な気分に浸ってしまう。とても気分屋なので、いつ気持ちがどちらかに振れるか分からない。彼は何とかして自分のその時の気分に私たちを引きずり込み、売買をさせようとする。なるべく多くの取引をさせるために、頻繁に、時には激しく、価格を買える。(P50)

  

「ミスターマーケット」に踊らされた投資家の例には以下のようなものがあります。

 

A)株価を追いかけて、株式を買い付ける。

 

B)利益が出ると、すぐに売却する。

 

C)株価が下落を続け、売却できず塩漬けに

 

このような投資家の行動は、「ミスターマーケット」に踊らされており、賢明ではない投資を行っている可能性があります。

 

②ミスターバリュー

ミスターバリューは、ミスターマーケットの対比として使われています。

 

無責任なミスター・マーケットが踊りに夢中になっている間、ミスター・バリューは表情一つ変えない。彼の暮らす世界には感情や幻想の介入する余地はない。彼は夜も寝ずに財やサービスを生産し、分配し続ける。楽しい仕事ではないが、経済そのものを動かしている。(P50)

 

長期の価格変動、平均回帰、ファンダメンタル価値、このようなワードが連想できていれば大枠のイメージがつかめていると思っていただいて構わないと思います。

 

投資家自身の責任

では、『敗者のゲーム』第四章において、このミスターマーケットとミスターバリューの二つを用いて著者は何を伝えたかったのでしょうか?

 

それはずばり、

 

ミスターマーケットに踊らされるな!!

 

これに尽きます。

 

投資で成功する上での最大の課題は、頭を使う事ではなく、感情をコントロールすることである。(P52)

 

ここまで何度も繰り返し述べられてきたことは、投資とは「敗者のゲーム」である、ということでした。そして、「敗者のゲーム」であることとはすなわち、どれだけミスを減らせるが勝敗を分ける最重要な要素であるという事でした。

 

ミスターマーケットは、投資家が犯してしまいがちなミスそのものです。短期的な価格変動に踊らされて長期的な価格変動を忘れてしまえば、それは致命的なミスになりかねません。とういうか、歴史的に見ればそれが致命的なミスである可能性はかなり高いわけです。

 

 ほとんどの投資家、運用機関、そして運用の広告は、リターンという投資の一面しか見ていない。長期的な運用の成功の為には、リスクの方がより重要だ。(P53)

 

 

踊らされないためのチェックリスト

 エリスさんは、投資家が避けるべきリスクとして以下のようなチェックリストを示してくれています。もちろんすべてをお見せすることはできませんので、そのうちのいくつかを載せておきます。また、それらチェックポイント下の疑問については、ぜひとも本著を直に手に取って確認していただきたいと思います。

 

投資信託の入れ替え

 投資信託の入れ替え10年に一回は多い?少ない?

 

リスクを回避しすぎる

 債券や短期資産はどのくらいいれる?

 

忍耐力の不足

 一年間に何回くらい売買判断をしている?

 

過大な借入

 倒産件数のうち、過大債務が原因のものはどれくらいの割合になるとおもいますか?

 

 

 まとめ

・ミスターマーケットに踊らされない

 

・一番の敵は自分

 

・長期的な投資方針を堅持する

 

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。