『ウォール街のランダムウォーカ―』備忘録⑭第十四章前半(ウォール街に勝つための三つのアプローチ)
皆さんこんにちは。
この記事は『ウォール街のランダムウォーカ―』第十四章(ウォール街に勝つための三つのアプローチ)の備忘録になります。
備忘録①は以下よりどうぞ!
前章、第十三章では投資家のライフサイクルとリスク許容度の関係について見ていきました。
今章、第十四章は『ウォール街のランダムウォーカ―』における最終章になります。本書を通してマルキールさんが何を一番伝えたかったのか見ていく事が出来そうです。
尚、今まではなるべく一つの章を一つの記事で同じ文量くらいでまとめるようにしていましたが、今回の最終章に関しては前半・後半の二本立てにしていきたいと思います。
よろしくどうぞ。
ウォール街三つの歩き方
さて、ウォール街をどのように歩き出せばいいのか。それには、大別すると三通りの歩き方がある。私はそれを次のように呼ぶことにしたい。第一のアプローチは思考停止型の人の歩き方である。第二のアプローチは手作り型の人の歩き方である。そして、最後のアプローチは専門家任せの人の歩き方。(P420)
『ウォール街のランダムウォーカ―』最終章では、実際に投資家がどのように金融市場に乗り込んでいるのかの簡単な手引きが書かれています。
もちろんこれはなんらあなたの投資成績を保証するものではありませんが、少なくともこれらの方針に従って投資をするならば致命的な失敗は避けられるでしょうと言うのがマルキールさんの立場です。
1. 思考止型アプローチ
思考停止型のアプローチとは、簡単に言えばインデックスファンドに投資をすることです。ただ、ぼーっと市場という電車に乗って連れていってもらう感じですね。
そんなことでリターンがあげられるのかという質問はここまで『ウォール街のランダムウォーカ―』を読んだ方ならもはやいりませんよね。
S&P500のようなインデックスファンドに投資をすれば、おおかたのアクティブファンドにリターンで勝つことが出来るというのは何度も繰り返し本文で述べられてきたことです。
インデックスファンドの利点や注意点については前章のドルコスト・平均法についてを読み返してみると良いですね。
もちろん、
インデックスファンドの場合は自分で大化け株を見つけ莫大な財を成すという、ある意味投資のロマン的なものは全くありません。
しかし、
市場平均並みのリターンを上げ続けるというのは、平均点が70点のテストで常に70点をとるような月並みの事ではありません
むしろ、
投資という世界では、市場平均並みのリターンを長期間にわたって上げ続けることが出来るのはとても優秀な証だと私は考えます。
一つだけ、注意点を本文から引用して見ておきましょう。
多くの人がインデックス運用とはS&P500指数を買うことだと間違って思い込んでいる。しかし、もはや今日ではそれだけがインデックス運用ではない。(P429)
これはとても有益な提言だと思います。確かに、今ではインデックスファンドと言えばS&P500というイメージは強いと思います。
しかし、
今日では様々なインデックスファンドが売られていますからどのような形で市場を所有するかはきちんと考えなくてはいけません、
私個人としててもS&P500にはいくつか懸念材料があるとは感じます。
例えば、
まず一つ目に大型株で構成されているという点ですね。個別株投資ではなくインデックスによって広く投資するわけですから、小型株における倒産リスクはかなり低減できるはずです。現代ポートフォリオ理論の章でシステマティックリスクと非システマティックリスクの違いについては学びましたね。
二つ目に、
S&P500指数のインデックスファンドの場合は頻繁な銘柄入れ替えがあるという点です。
当然、成長し続ける企業もあれば、そうではない企業もあるわけです。これはつまりS&P500から除外される企業もあれば、新たに入ってくる企業も存在するという事です。
これの何が問題なのかと言うと、
例えば、
停滞し株価が下落している企業がS&P500から除外されたとして、確かにそのような企業は業績が停滞しているかもしれませんが、それ以上に投資家から失望され売り込まれている可能性もあるわけです。
その結果、
企業価値よりも株価が低くなっていることが多く、安全域が十分にあるバリュー投資家の対象となり株価がまた上昇してくることも考えられます。
逆に、
企業の業績や成長率が良くS&P500に入ってくる企業に関しては、そもそも割高な株価であることが多いわけです。なぜなら投資家の期待が実際の株価に上乗せされているからです。
このように、S&P500にもいろいろと考慮するべき点は存在しているわけです。
もちろん、これはS&P500の有効性を否定するべきものではありませんし、むしろS&P500指標を買う形でも十分にリターンを目指すことが出来ると思います。
私が言いたい事は、盲目的にS&P500に飛びつくようなことがないようにしてくださいという事です。
2. 手作り型の歩き方
投資家としての面白みはどこにあるのでしょうか。
マルキールさんは、長期的にインデックスファンドに投資し、取引は極力抑えろと言います。
しかし、
ここでほとんどの読者の皆さんにとって同意してもらえると思うのですが、
え~おもんな
って思いませんか?(笑)
正直、私は投資は退屈で結構と割り切っていますし、この考え自体とても幼稚な発想のようにも思えるのですが、やはり投資の醍醐味の一つには知的努力の先でつかむ市場を出し抜いたという感覚なのではないでしょうか。
マルキールさんが、本章で第二の歩き方を提示しているのはまさしく上で書いたような自己の知的努力で金融市場に挑みたいという投資家の気持ちを思っての事なんだと思います。
このような方々へマルキールさんが提示した株式選択のルールはすでに前の章で出ていましたが、以下の四つです。
①少なくとも五年間は、一株当たりの利益が平均を上回る成長を期待できる企業の株のみを購入する。
②企業のファンダメンタル価値が正当化できる以上の値段を払って、株式を買ってはならない。
③近い将来、「砂上の楼閣」づくりが始まる土台となるような、確固たる成長見通しのある銘柄を購入するとよい。
④なるべく取引回数を減らすべし。 (P438~441)
まあ、これまでのマルキールさんの主張をまとめたようなものですからね。あまり目新しさは感じませんね。
もちろん、
私の口からも何度も何度も言っていることですが、この方法に沿ってやったからといって優秀な投資成績が納められるなんてことは全く保証できません。
もし、
この法則に沿って投資を試してみたいのであれば実際に『ウォール街のランダムウォーカ―』を手に取ってより詳細なポイントをきちんと確認してくださいね。
私自身は、自分自身の知的努力で市場に勝とうなんて気は全然ないのパスです。
3. 人に任せるタイプ
最後、三つ目の歩き方は人に任せる歩き方になりますね。要は、専門家をフル活用しろという事です。
では、その専門家とは誰の事を指しているのでしょうか。
投資信託は、単に個々の投資家を銘柄選択の手間から解放してくれるだけでなく、分散投資によってリスクを低め、事務手続きや税務からも解放してくれるのだ。加えて、多くのファンドは、配当の再投資や定期的な現金引き出しプランなど、様々な付随サービスも提供してくれる。(P443)
マルキールさんは投資信託のファンドマネージャーを利用することを薦めていますね。
確かに、優秀なファンドマネージャーが個人投資家よりも投資において優秀なプレイヤーであることは疑いようのない事実だと思います。
また、
マルキールさんが指摘しているように、投資信託に付随しているサービスにも魅力があるのも確かです。
一般論としては投資信託によって優秀なファンドマネージャーに運用してもらうのが有効な投資戦略であることには私も同意見です。
しかし、
人任せについては、少し注意すべき点もあるように思えますね。
というのも、
マルキールさんが人任せと言っているのはあくまでも運用についてなわけです。これは投資資金の運用をファンドに任せるという意味なわけですから、どのようなファンドを利用するのかについては自分自身で努力すべき範疇と考えるべきでしょう。
うちのファンドの運用成績は素晴らしいですよ!!
うちは売買手数料が市場の平均以下ですよ!!
なんて言われて、
はい、おなしゃーす
なんて資金を出すようなことは絶対にしてはいけないのです。
そのすばらしい運用成績はどのような切り取り方をしたのですか?
売買手数料は安いけど、運用管理費は?他の経費は?
自分で考えなくてはいけません。
ファンドの方が説明してくれないのは不親切だ!!
なんてのは現実的にアウトな考え方だと思います。
まとめ
・ウォール街の歩き方は3つ
・市場に乗る
・自分で歩く
・プロに歩かせる。
・マルキールさんのおすすめは市場に乗る事
ここまでお読みくださりありがとうございました。