『新賢明なる投資家』備忘録⑯第15章(積極的投資家の株式選択銘柄)

皆さんこんにちは!

 

この記事は『新賢明なる投資家』第15章(積極的投資家の株式選択)の備忘録になります。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

『新賢明なる投資家』第15章(積極的投資家の株式選択)では、市場平均よりも収益の上がるポートフォリオの構築を目指す積極的投資家が、実際にそのようなポートフォリオはどのように組むことが出来るのか、またはその可能性について考察されています。

 

※執筆当時(1970年代)と現代の状況の違いについて十分に注意しお読みください。

前提条件:市場に勝つことはかなり困難である

グレアムさんは、積極的な投資家が市場に勝つための可能性についてこの章で考察していますが、その可能性についてはかなり低いと言う事を初めに述べています。

 

では、

どうして市場に勝つことはそんなにも難しい事なのでしょうか。

 

グレアムさんが本文中に挙げていた根拠の一つは投資信託の運用実績です。

 

 ところが全体的に見ると、普通株のみを組み入れたファンドの長期運用実績は、S&P総合500種株価指数どころか市場平均以下の成績しか収めていない。このことは複数の包括的研究によって既に実証されている。(P161)

 

では、どうして投資信託のようなファンドは市場平均を超える収益を上げることが難しいのでしょうか。

 

この根拠については主に二つの視点をグレアムさんは主張しています。

 

第一は現在株価に反映されているのは、その企業の過去および現在の業績のみならず、将来についてのおよそ合理的と言える予想のすべてであるということである。(P162)

 

これはつまり、市場は企業の将来に対する期待もすでに織り込んでいるという事です。そのため、仮に企業がこのまま予想通りに発展していったとしても、それが企業の市場における価値を大きく上昇させるかと言うと必ずしもそうではありません。

 

加えて、

すでに市場が企業に対する将来の期待を織り込んでいるならば、株価を大きく動かす要因となり得るのは市場の期待を裏切るような出来事という事になります。

 

市場の予想を裏切る出来事を予想するのは不可能といっても過言ではありません。

 

 

二つ目は以下の点です。

 

アナリストの多くは銘柄選択手法における基本的欠陥というハンディを負っている。彼らが探しているのは、最も将来性が見込める業種で、しかも最高の経営者やその他の強みを有している企業だ。(P163)

 

これをわかり易く言うと、投資信託などのファンドは株価の割安・割高に関わらず現に優秀な成長を遂げており見通しの良い企業を買い、成長が鈍く見通しも悪い企業は避けるという傾向があるということです。

 

一見、これはとても素晴らしい事のように見えますし、理論上はこれでも構わないとグレアムさんも肯定しています。

 

しかし、

ここで考えなくてはいけない事は、現実の問題として、良い成長がずっと続く企業など限られたごく一部でありますし、またある程度の規模があるのに完全に廃業する企業というのもそこまで多いわけではないのです。

 

故に、

ほとんどの企業が経営の浮き沈みがあるという前提があるわけで、どの企業が結局成長し、どの企業が結局廃業するのかを見極めるのは極めて困難なことであるという事になります。

 

以上まとめると、

市場を裏切る事柄を予想することは不可能であるし、現時点で良い成長をしているからと言って、結局本当にそれが続くのかは分からないわけです。

 

株価は偶発的かつ、ランダムに変化する

 

そして、

なによりこれが積極的投資家が市場平均を上回ることのできる可能性が低い理由となるのは、ほとんどの投資家がファンドの優秀なアナリストよりも優秀なポートフォリオを組める可能性は限りなくゼロに近いからです。

 

そうでしょね、相手はプロフェッショナルなわけですし、持っているリソースも違います。

 

彼らプロにとって難しいことを、一般的投資家ができるとすることは合理的な判断ではないですよね。

 

※ファンドの重要性を否定する意図は全くありません。むしろ、ファンドは一般投資家が平均的な収益を目指すためには有効な手段の一つであると考えます。

 

どうすれば市場に勝てるのか?

前提、市場に勝つことがかなり困難な事であると理解したうえで、どのようにしたら積極的投資家は市場に勝つ可能性を得ることが出来るのでしょうか。

 

グレアムさんの言葉を見てみましょう。

 株式市場では相当数の銘柄が標準的分析による銘柄選択からしばしば除外されているのだとすれば、賢明なる投資家には、その結果生じる割安銘柄から利益を得るチャンスが生まれるのである。(P164)

 

これは、つまり市場から無視されていて正確な価値が反映されていない銘柄や、一過性の大きな価格変動によって投げ売られた銘柄(ミスターマーケット)のようなものを指しています。

 

しかし、

こういった銘柄を見つけるためには二つの困難な部分をクリアしていく必要があります。

 

一つ目に、

標準的な分析から除外されている銘柄を見つけるためには、王道ではいけないということです。

 

なんだか、危険な香りがしてきましたね。(笑)

 

 しかしそのためには[除外された銘柄から利益を得るためには]、ウォール街では一般的に受け入れられていない特別な方法に従わなければならない。というのは、すでに一般化している方法を用いても、みんなが望むような結果は得られないだろうと考えられるからである。(P165)

 

では、具体的に一般的ではない方法とはどのようなものを指しているのでしょうか。

 

いくつかグレアムさんがおこなった方法をご紹介します。

 

裁定取引

 裁定取引はマーケット(市場)にできる価格差を利用して利益を獲得しようとする取引の事です。

例)

ボーデンによるカイザー・ロスの買収。自社の一と三分の一株をカイザー・ロスの一株と交換した。発表翌日の二株の終値は、ボーデン(26ドル)、カイザー・ロス(28ドル)だった。この時、カイザー・ロスを一株28ドルで買えば、ボーデン株の一と三分の一(約34ドル)と交換できることになる。

 

清算

 法人の解散時に清算した結果、会社に残余財産が残った場合、株主(社員)に対して出資割合に応じて残余財産が分配されます。

例)

ユニバーサル・マリオン社解散時、帳簿価格は28.5ドル、1970年の終値は21.5ドルだった。帳簿価額28.5ドルのほとんどは流動資産であったので現金化されれば利益がでる。

 

まあ、他にもいろいろとありましたが防衛的投資家を目指す私がこの場で備忘録として自分に向けて言いたい事と言うのは、あくまでもシンプルに複雑な物に手を出すんじゃねえぞ。

 

という事なので、この辺にしておきます。

 

まとめ

とにかく、市場平均を上回る事なんてあまり現実的では無いのです。

 

シンプルかつ相当な利益を目指す投資家でありたいです

 

以上

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

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