『新・賢明なる投資家』備忘録⑨第8章(投資家と株式市場の変動)

皆さんこんにちは。

 

この記事は、『新・賢明なる投資家』の備忘録⑨として第8章(投資家と株式市場の変動)をまとめたものになります。

 

備忘録①以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

タイミング手法とプライシング手法

日頃の株価変動から利益を生み出す可能性を見つけるための方法としては大きく分けて

タイミング手法プライシング手法が存在しています。

 

タイミング手法...

 市場の動きを予想して、相場の上昇が見込まれる場合には買い、下落が見込まれる場合に売る方法

 

プライシング手法...

 証券の本来の価値以下の評価を受けている時に買い、本来の価値以上の評価を受けている時に売る方法

 

 この二つの方法においてグレアムさんはプライシング手法を利用することを薦めています。まあ、いままで何度も投機的な行動を批判してきたわけですから、市場予想に重点をおくタイミング手法が受け入れられないのは理解できますね。

 

一応、グレアムさんのタイミング手法に対する言及の一部にも触れておきます。

 

一般の人々が相場予想で儲けられるなどという考えはばかげている。所定の売買シグナルが出たことで大衆投資家たちの利食い売りが殺到した場合、誰が買うと言うのだろうか。~中略~ 一般の投資家が、自分自身もその一員である一般大衆以上に的確に相場の動きを予想できるなどと言う根拠は、理論的にも経験上においても存在しないのである。(P336)

 

グレアムさんは、たしかに一部相場を正しく調査し予想をしている人々もいることは認めています。しかし、そのような人たちが抱えている資金や頭脳と言ったリソースは一般の投資家の限界を遥かに超えているものであると言うわけです。

 

加えて、

タイミングを見極める方法についてもその確実性を保障できるものは何一つありません。もちろん、歴史上うまくいったかのように評価できる理論は存在しているでしょう。

 

しかし、

グレアムさんは、そのような理論はすべて時間の経過とともに新たな状況に適合しなくなっていく事や、ある有効な手法が株式市場に浸透すると、それ自体が相場の動きに影響を与えるようになり利益を上げる機会を奪ってしまう事を指摘しています。

 

弱気相場で買い、強気相場で売る

これまでの章でグレアムさんが述べてきたことと言うのは、相場が下落しているからと言って簡単に売ってはならないし、相場が上がっているからと言って簡単に買い増しをしてはいけないと言う事です。

 

これは一見、賢明な投資家にとっては弱気な相場は買いの好機で、強気な相場は売りの好機であると言っているようにも聞こえます。いや、もちろんそうであることは間違いないのですが、ここで気を付けなくてはいけないポイントをグレアムさんが指摘しています。

 

それは、

弱気相場で買うことと、弱気相場が来るまでは買わないことをごちゃまぜにしないという事です。もちろん、弱気相場でしか買わないという戦略をとってもあなたは利益を生み出すことが出来るでしょう。

 

しかし、

この場合の問題と言うのは、弱気相場が来るまでは買わないという方針では次の買いの好機が来るまでに長い時間がかかるという事です。

 

いつ次の買いの好機が来るのかは誰にもわかりません。

 

そしてほとんどの場合、その好機を長時間待つ羽目になります。そしてその間、一切売買を控えているということは、配当収入や投資機会を失うことと同義なのです。

 

だからこそ、グレアムさんはプライシング手法を押しているわけです。どんな状況においても必ず存在している割安銘柄を探す努力を我々はしなくてはいけないのですね。

 

自分のゲームで勝つ

グレアムさんがタイミング手法や市場の予測で稼ぐことを一般大衆投資家に対して不可能と断じているのは、一般大衆投資家とプロの間には埋めようのない差があるからです。

 

では、

我々一般大衆投資家はどのようにして金融市場で生き残っていけばよいのでしょうか?

 

それは、自分のゲームをすることです。

 

どういうことかと言いますと、自分にコントロールできるもので戦うという事です。

 

何度も言っている通りに、我々に市場の予想などはできないのです。

 

だからこそ、市場やそこに存在するプロとではなく、自分自身と戦うのです。

 

取引コスト:少ない数・金額の取引

 

保有コスト:経費の削減

 

期待:理想論✖現実論〇

 

リスク:分散投資、リバランス

 

納税:株式の長期保有で節税

 

自信の行動:ミスターマーケットに負けない

 

このような要素は、自分がコントロールすることが出来る事柄です。常に、これらに意識を伸ばして取引をすることによって、あなたが描いた堅実な投資プランを実行して行くことが出来るようになるのです。

 

※ミスターマーケットとは、株に不合理な値がついてしまう事を表した有名なメタファーのことです。ミスターマーケットは株価を必ずしも合理的に評価しているのではなく、上げ相場の時は実質的な価値以上の評価をしてしまう傾向があり、下げ相場の時には実際の価値よりも低く評価してしまう傾向があります。具体的な例を出すと、相場が下がっている時は早く株を手放して損を防がなきゃと思い、相場が上がっている時は株価はもっと高くなるだろうと思ってしまう人間の性質を表しています。

 

まとめ

・本来の価値で取引を(プライシング手法)

 

・タイミングで取引はできない

 

・「弱気相場以外買わない!」は配当や投資機会を失う

 

・自分のルールで自分のゲームを

 

 

 ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

備忘録⑩はこちらから!!

jeconomy.hatenablog.com