『ウォール街のランダムウォーカ―』備忘録④第四章(史上最大のバブル)
皆さんこんにちは。
この記事は、『ウォール街のランダムウォーカ―』第四章(史上最大のバブル)の備忘録になります。
備忘録①は以下よりどうぞ!
『ウォール街のランダムウォーカ―』第四章では、前章に引き続きバブルについて述べられていますが、特に2000年初頭のインターネット・バブルについて詳しく述べられています。
このバブルから、本著はどのようなアドバイスを投資家にしてくれているのでしょうか。
実際に見ていきましょう。
インターネット・バブル
インターネット・バブルとは一体どのようなものだったのでしょうか。
適宜、本文を引用しながら見ていく事にします。
金融学者のロバート・シラーはその著『投機バブル 根拠なき熱狂』の中で、バブルを「ポジティブフィードバック・ループ」と表現している。(P106)
まずは、どのようにインターネット・バブルが膨らんでいったのかについてですが、引用部にある通り、バブルの発生には「ポジティブフィードバック・ループ」という現象が見られます。
例えば、オランダであったチューリップ・バブルについて考えてみますと。
1. 生産家、中間業者などがチューリップの球根を買い占める。
2. 球根の価格が上がり始める。口コミの発生。
3. 一般投資家が参入し始め、さらなる資金が流れ込む。
4. 球根の価格が上がる。メディアなどの関心が高まる。
5. 一般人が参入し始め、さらに資金が流れ込む。
6. 球根の価格が上がる。
7. あとは、繰り返し。
このように、チューリップに関するポジティブなフィードバックが繰り返されることによって、価格が上昇し続けバブルになっていくわけです。
インターネットバブルについても同様で、まずは、プロの投資家などによって一通りインターネット関連銘柄が買い上げられ、その株価上昇によって、さらなる投資家の参入が誘引され、さらに株価が上昇、あとは銘柄に対するいいイメージが広がっていくだけです。
結果、
インターネット関連銘柄が多いNASDAQのナスダック総合指数は、1996年には1000前後で推移していましたが、1998年9月に1500を、1999年1月には2000を突破し、2000年3月10日のピーク時には5048まで高騰しました。このような傾向はアメリカの株式市場だけではなく、ヨーロッパやアジアや日本の株式市場でも見られました。
二〇〇〇年初めに行われたある投資サーベイによると、株式に対する投資家の期待リターンは、年率平均一五%から二五%、あるいはそれ以上にもなっていた。一九八二年から九九年までの実績としての株式市場平均リターンは一八%にも達していたのだから、それも無理からぬことではあった。(P108)
これは凄いですね、
2016年のデータ*では直近20年間のS&P500(米国の代表的株価指数)の平均リターンは8.19%でした。(引用*:“Quantitative Analysis of Investor Behavior, 2016,” DALBAR, Inc. www.dalbar.com)
とはいえ、
これもバブルなわけですから、何かしらのきっかけではじけてしまうわけです。
インターネットバブルの場合には、連邦準備制度理事会の米ドル利上げを皮切りに、株価は急速に下落しました。あとは「ポジティブフィードバック・ループ」ならぬ、「ネガティブフィードバック・ループ」によって、売りが売りを呼ぶだけです。
その後、
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件も相まって、2002年には1000台までナスダックは下落しました。
どうしてバブルにはまるのか?
文中で、マルキールさんはこのように述べています。
”なぜ人間の記憶はこんなにも短命なのだろうか。なぜ株式相場だけは、あらゆる歴史の教訓と無縁なのだろうか。私には分からない”(P135)
おっしゃる通りです。
ロバート・シラー教授のポジティブフィードバック・ループ理論からも分かるとおり、バブル中に株価が上がっているのは、自分よりも愚かな投資家が存在しているからです。
こんな銘柄高すぎて買うわけないでしょ(笑)
このような投資家が多くなれば株価など上がりようがないわけです。
そしてそうであるならば、
バブルのように株価がファンダメンタル価値から大きく逸脱している状態では、遅かれ早かれその価格が崩れることは想定されて然るべきはずです。
しかし、
バブルは繰り返されていくのです。
インターネットバブルの後、2008年にはアメリカで住宅バブルが発生し、リーマンショック発生の一要因になってしまいました。
なぜ繰り返されるのか。
この問題に対しては、短期的な利益を望んでしまったり、集団の意見に飲み込まれてしまうといった、人間の心理性向も影響してるだろうと予想されますが、本当の原因はわかりません。
しかし、
分からないとはいえ、この何度も繰り返されるバブルから教訓を学ぶ事はできるはずです。
では、その教訓とは、
『ウォール街のランダムウォーカ―』第四章においてマルキールさんがきちんと語ってくれています。
私の個人的経験に照らしてみても、一貫して株式市場で負け続けているのは、チューリップ・バブルの時代から繰り返される相場の過熱に身を任せてしまうタイプの投資家なのである。~中略~ただ気を付けなくてはいけないのは、一夜にして大金持ちになれるかもしれないという投機の馬鹿騒ぎの中で、大切な財産を賭けたくなる誘惑に負けないことだ。(P136)
前章においても繰り返し述べられているように、長期的に堅実な投資を心がけることが重要であり、投機は慎めということですね。
ここまで約130ページを使って、
頼むから投機に巻き込まれるなよ!!
とマルキールさんが言うわけですから、本書において最も重要なメッセージの一つと言ってもいいかもしれませんね。
まとめ
・投機が投機を呼び込むことでバブルに
・短期でお金持ちになれるなんて考えるな
・真面目が一番
ここまでお読みくださりありがとうございました。
備忘録⑤はこちらから!!