『ウォール街のランダムウォーカ―』備忘録②第二章(市場の狂気)

皆さんこんにちは。

 

この記事は『ウォール街のランダムウォーカ―』第二章(市場の狂気)の備忘録になります。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

第一章では、市場を予測することは不可能であるとするランダムウォークの立場について学ぶとともに、とはいえ市場では伝統的なファンダメンタル学派と砂上の楼閣学派の二つによって市場予想が行われてきたと言う事を学習しました。

 

第二章は(市場の狂気)という題からも何となくわかると思いますが、バブルという現象についての考察になっています。

 

お金欲しさのあまり、市場参加者は全員、ファンダメンタル価値理論をあっさりと投げ捨て、砂上の楼閣を築くことで巨万の富が得られるという、疑わしいがスリル満点の考えにとりつかれる。(P35)

 

復習がてらこの言及を要約すると、

 

ファンダメンタル価値、つまりは証券の本質的な価値に関わらずより高く買ってくれる人がいるだろうという判断(砂上の楼閣理論)で取引が行われることによって、バブルにつながるという事でしょうね。

 

それでは、

第二章の内容に入っていきましょう。

 

バブルの歴史

ウォール街のランダムウォーカ―』第二章ではまず初めに、過去にどのようなバブルが存在していたかについて触れられています。

 

この記事では、オランダ・チューリップバブルとイギリス・南海泡沫会社バブルの二つを見ていきます。

 

オランダ・チューリップバブル

17世紀のオランダで起こったチューリップバブルは、ある植物学者によってトルコ原産の珍しい植物(チューリップ)がウィーンの街より持ち込まれたところに端を発します。

 

その後、

市場にも比較的高価な花として定着したチューリップですが、この花はしばしば「モザイク病」というウイルス性の病気にかかることで花弁に縞模様が浮かぶことがありました。この模様は美しいものでありますし、モザイク病それ自体もチューリップにとって致命的な病気ではなかったため、このモザイク柄のチューリップは「ビザール」という呼称で通常よりも高値で取引され始めました。

 

また、

当時の人々にとって異国情緒感じるチューリップの花は一種のステータス商品でもあり、国内需要の高まりを後押ししました。

 

このような需要の高まりとそれに伴う価格の上昇を受け、チューリップのマーケットでは次の流行りを探す動きが活発になりました。さらに、球根の大量仕入れや品種改良等の動きによりチューリップの価格は上昇を続け、その価格の上昇がさらなる需要を呼び込むと言うスパイラルに突入したのです。

 

結果、

チューリップバブルのピーク時(1634~1637年)には、たった一つのチューリップ球根が宝石や土地などと交換されるという事態にもなりました。

 

しかし、

バブルという言葉からも分かるようにこの狂気的な市場は長くは続きません。投機を目当てに買う人々によって球根の価格は上昇し続けていたわけですが、これは裏を返せば球根を高値で買い求める人物が現れ続けない限り持続不可能という事になります。

 

1637年2月、チューリップの売り手は、高騰した球根代金を支払おうとする買い手をもはや見つけることができなくなり、そうと知れ渡った途端チューリップに対する需要は崩壊し、価格は暴落することとなりました。

 

最後にはもはや玉ねぎと変わらない価格にになったとさ。

無念。

 

チューリップバブルについての説明は以上になりますが、このチューリップバブルについて、一つ面白くもとても勉強になる事実を付け加えておきます。

 

 

マッケイによれば、バブル崩壊時点で最後に球根を掴まされていた個人については、代金の支払いを命じる裁判所は無かったという。何故なら裁判官はこれをある種の賭博による負債だと解釈し、法律上強制できないと判断したからである。

引用:チャールズ・マッケイ著『狂気とバブル』塩野美佳・宮口尚子訳、パンローリング株式会社、2004年。ISBN 4-7759-7037-2。

 

これは本当に面白いですよね、

公的な裁判所が投機的なこの取引をギャンブルだと言っているわけですから。

 

投機と投資の違いをしっかりと認識することの重要性を改めて認識しなおすことが出来ますね。

 

南海泡沫会社バブル

「申し訳ありませんが、会社の業務内容は誰にも分からないのです。しかし、大儲けだけはお約束できます」といったとしよう。「これではまるで詐欺ではないか」とあなたは言うだろう。

 確かにその通り。しかし、三〇〇年前のイギリスでは、こういう会社こそ最も人気のある新規公開株だったのである。(P41)

 

 いやいや、

チューリップバブルもなかなかの狂気でしたけど、これも本当ならもう恐怖ですよ。

 

詳しく見ていきましょう。

 

まずは、南海会社とはどのような会社なのかについて説明をしておきます。

 

南海会社はイギリス(当時、グレートブリテン王国)の財政難を救うために、政府の100万ポンド近い国債を引き受け、その見返りに南米貿易の独占権を与えられた国策会社になります。

 

しかしながら、

この南海会社ですが肝心の南米貿易が全く上手くいかなかったのです。

 

え~じゃあ何で利益を上げたの?

 

それが南海計画!!

 

なんだか名前からして怪しいです。

 

この計画については概要がウィキペディアで簡単にまとめられていたのでそちらを引用させて頂きます。

 

1719年、巨額の公債引き受けの見返りに額面等価の南海会社株を発行する許可イングランド銀行との熾烈な入札競争の末に勝ち取った。

 

1. 株と国債の交換は時価で行う。すなわち、南海会社の株価が額面100ポンドにつき市場価格200ポンドの場合、200ポンドの国債1枚と南海会社株100ポンド分で等価交換となる。
 
2. しかしながら発行許可株数は交換額に応じている(200ポンド交換した)ので額面200ポンド分の株が発行できる。すなわち、交換しても手元に100ポンド分、時価200ポンド分余ることになる。
 
3. これを売りに出すと売り上げの200ポンドはそのまま南海会社の利益となる。
 
4. 上記の方法で南海会社の利益があがると、当然株価が上昇する。
 
5. 1に戻る。
 

以上の手順を繰り返すと無限に株価は上昇し、南海会社は利益をあげ続け、株保有者はみるみる豊かになっていく、これが南海計画であった。 

(出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)

 

 簡単に言うと、

引き受けた国債を株式に、株式を売って利益を上げ、その利益で株価を上げ、さらに国債を変換した株式を売っていくという繰り返しですね。

 

ただ、

皆さんもお気づきだとは思いますが、これって株を購入する人がいないと結局意味がないですよね。

 

もちろんその通りです、

これには当時のイギリスの社会情勢が関わってきます。

 

南海バブル時代のイギリスは、長年の国の繁栄を受け、中産階級がお金持ちになっていました。

 

しかし、

この市場にだぶついた資金を投資するための投資先が少なく、階層を問わずイギリス市民は良い投資機会に飢えていたのでした。

 

そこに登場した国の債務を救ったヒーロー、かつ株価の上がり続ける南海会社という甘い蜜。

 

人々は我が先と投機熱に浮かされこの会社の株を買いあさったのです。

 

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結果、

1株あたりの価格は1720年1月には100ポンド強であったものの、5月には700ポンドになり、6月24日には最高値1050ポンドとなんと約10倍になりました。

 

また、

感染症のようにこの投機熱は南海会社以外の会社の株価にも影響し始め、空前の投機ブームを引き起こすことになりました。

 

市場では、このブームの需要にこたえるかのように様々な企業が乱立し始めますが、程なく政府が規制に乗り出します。

 

すると今までの狂気が嘘のように、悪夢からはっと目が覚めたかのように株価の上昇は止まり、すぐさま株価の暴落が始まったのでした。

 

ちなみに、

このバブルの被害者にはかの有名なアイザック・ニュートンもいたようです。

 

歴史から私達は何を学ぶべきなのか?

後で見るように、仮にウォールストリート・ジャーナルの株欄にダーツを投げて銘柄を選んだとしても、長期的にはかなり高いリターンを上げることができるのである。むしろ難しいのは、短期間に手っ取り早くお金を儲けられそうな投機に、お金をつぎ込みたくなる誘惑を振り払う事の方である。(P59)

 

ウォール街のランダムウォーカ―』第二章から何か一つ最も重要な点を抜き出せと言われたなら、私はこの部分を選ぶでしょう。

 

歴史上何度も、バブルが起きているという事実が示していることは、人間は短期的な利益をどうしても求めてしまう精神性向があるということです。

 

どれだけ、バブルで失敗した人が出ようと、未来において必ず投機的なバブルは起こるのです。

 

一般投資家は、バブルとは破滅へのエスカレーターと考えてその誘惑に打ち勝ち、巻き込まれないようにすることで自らの身を守らなくてはいけません。

 

なかには、

私はバブルがはじける前に売り抜けるから大丈夫だと考える人もいるでしょう。

 

しかし、

同書内ではっきりと以下のように書かれています。

 

”誰も逃げきれなかった”

 

チューリップバブルでは、チューリップの価格が20倍に跳ね上がった、わずか一か月後にはそれ以上の下げ幅を記録したのです。

 

いつ、バブルがはじけるのか合理的に説明がつかない以上、バブルに乗っかってお金を稼ごうとする考えは決して受け入れられないものなのです。

 

長期的なリターンを目指す。

 

一章で学んだ投資とはまさしくそのようなものであったはずです。

 

まとめ

過去のバブル

チューリップバブル(オランダ)

・南海泡沫会社バブル(イギリス)

 

投機の誘惑に負けないこと

 

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

備忘録③はこちらから!!

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