『ウォール街のランダムウォーカー』備忘録①第一章(株式と価値)

皆さんこんにちは!

 

この記事は『ウォール街のランダムウォーカ―』第一章(株式と価値)の備忘録になります。

 

投資のバイブルとして有名な『ウォール街のランダムウォーカ―』

 

どのような事が学べるのか楽しみですね。

 

※今備忘録は個人的解釈に基づいたものであり、本著の解説や投資を誘引することを目的としたものではありません。

 

ランダムウォークとは?

初めに、本書の題名にもなっているランダムウォークとは何を指しているかについて見ていきましょう。

 

ランダムウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」という事を意味する言葉である。(P19)

 

なるほど、

非常にわかり易い書き方になっていますね。

 

一般投資家の皆さんは普段どのように株式銘柄を選んでいるのでしょうか?

 

-この銘柄は将来価値が上がるのではないか?

 

-この銘柄は今上がり相場に乗っているのでは?

 

このようなことを考えてはいないでしょうか。

 

実際、街中の書店で投資関連の棚を覘いてみるとそこにはファンダメンタル分析やテクニカルチャート分析のような今後の株価の値動きを予想しようとする書籍がたくさん並んでいます。

 

これを鑑みるに、やはり現代においても株価の予想をしようとする動きは根強いものであると言っても過言ではないでしょう。

 

しかし、

ウォール街のランダムウォーカ―』の著者であるプリンストン大学経済学部教授のバートン・マルキールは同書の第一章においてはっきりとこの本における前提条件を提示しているわけです。

 

予想なんてできねーよ

 

と、、、

 

 

はたして、マルキールさんの主張するこの理論のように株式の予想は不可能なのでしょうか、また本当に不可能であるならばどのような根拠に基づいているのでしょうか。

 

読者の皆さんと共にこの疑問への解を求める旅へと出港です。

 

「投機」と「投資」の違い

初めの論点は「投機」「投資」の違いについてですね。

 

正直なところ、『ケインズ投資の教訓』や『賢明なる投資家』といった本にも書かれていた論点なので、なんとなく趣旨は理解できますね。

 

この二つについても記事を書いているので興味がある方はコチラから。

 

jeconomy.hatenablog.com

 

 

jeconomy.hatenablog.com

 

さて、

「投機」と「投資」にはどのような違いがあるのでしょうか?

 

もちろん、

この二つの定義は人によってかなり異なるのではっきりと言い表すことは難しいのですが、今回は『ウォール街のランダムウォーカ―』の内容に沿って書いていきます。

 

私は投資というものを、配当や金利、賃貸料など、かなり確実性の高い収入の形で利益を上げられるか、長期的な値上がり益を得ることを目的とした金融資産の購入、と捉えている。投資と投機のを区別する基準は、どのような期間で投資リターンを考えるかがはっきり意識されているかどうかと、リターンが合理的に予測できるかどうかの二点にある。(P22)

 

この言及から「投機」と「投資」の違いについてザックリまとめてみると以下のようになりますね。

 

投機:

 ・比較的短期のリターン

 

 ・予想や期待に基づく判断

 

 

投資:

 ・長期的なリターン

 

 ・確実性の高い判断

 

 何故このような違いを認識する必要があるのでしょうか。

 

主な理由として挙げられるのは多くの人が投機的な活動を投資だと勘違いしている現状がある為です。

 

人によってはデイトレードやFXですら投資の一環だと考えている現状です。

 

しかし、

FXやデイトレードのような短期的トレードは投資的行動ではありません。どちらかといえばギャンブルに近いものなのです。

 

この点については、

どの本を読んでみても同じような事が書いてあります。

 

投資に関して大損をしたという話を聞くこともあるとは思いますが、この時、大きな損失を出している人たちのほとんどは投資ではなく投機的な取引が原因となっている場合がほとんどです。

 

安定性・堅実性・相当な収益・長期的なリターン、これらの単語が投資的な性格と結びつくものになります。

 

価値予想における二大学派

さて、本書では前提条件として「予想なんて不可能」という立場にいるわけです。

 

しかし、

ここには一つの難題がありまして、というのも仮に「予想が不可能」であるとしても、株式等の証券から得られる利益は将来の価値上昇や収益に基づいているため、将来を予想することからは結局逃げることができないという点です。

 

ウォール街のランダムウォーカ―』では、この点に関して二つの伝統的アプローチを理解することの重要性を示しています。

 

 

ファンダメンタル価値学派

一つ目は、ファンダメンタル価値学派と呼ばれるものです。

 

ファンダメンタル価値学派は、現状分析と将来予測を緻密に行うことで導き出される証券の実質的な価値(ファンダメンタル価値)が現状価格である時価を下回っているか上回っているかで購入、売却を決める学派になります。代表的な人物としてはウォーレン・バフェットがおり、バリュー投資はこの理論を基本理論として成り立っていると考えられています。

 

投資対象が普通株であれ不動産であれ、「ファンダメンタル(本質)価値」と呼ばれる絶対的な価値があり、それは現状分析と将来予測を注意深く行うことによって推定できる、と主張する。(P26)

 

砂上の楼閣学派

砂上の楼閣学派は、ファンダメンタル価値学派とは異なり現状分析や将来予測は重視せず、他人がより高い金額で取引したいと考える銘柄はどのようなものなのかを考えて投資を行う学派になります。代表的な人物としてはケインズがおり、美人投票という比喩を皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

この学派では現在の価格に関係なくより高い値段で買ってくれる人がいるのなら、その銘柄は買いという事になります。

 

砂上の楼閣学派の投資アプローチは、心理的要素を重視する。~中略~プロの投資家というのは本質的価値を見出すためにではなく、大衆投資家がどのように行動し、強気が支配する相場の局面で、希望的観測がどのように砂上の楼閣を作り上げるかを分析することにエネルギーを費やす。(P29)

 

 

まとめ

第一章では、題名にもなっている「ランダムウォーク」とは何なのか、投機と投資の違いとは、伝統的な価値予想アプローチの二大学派ついて見てきました。本書ではこの二大学派については、いずれも互いに相反する立場に立っており、またこれら二つどちらの考え方でも確実な予想は不可能であると主張しています。

 

続く第二章おいては、株価の造形にこの二つの学派がどのように関わってきたのかについて触れられていきます。市場における過去の失敗からどのような事が学べるのか、この点を注意して読んでいきたいと思います。

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

ウォール街のランダムウォーカ―』興味のある方へ