『新・賢明なる投資家』備忘録⑦第6章(積極的投資家の分散投資ー消極的な方針)
皆さんこんにちは!
この記事は『新・賢明なる投資家』の第6章(積極的投資家の分散投資ー消極的な方針)の備忘録です。
備忘録①は以下のよりどうぞ!
分散投資の基本方針
『新・賢明なる投資家』第6章では、先ず初めに分散投資における基本方針について触れられています。
簡単にまとめておきましょう。
二流債券や優先株は高利回りであること多いため、魅力的に感じる投資家は多いのかもしれません。しかしこのような証券に対して注意しなくてはいけない点は、二流債券や優先株は単なる相場の下落や不景気によって大きな影響を受ける可能性が高いという点にあります。
それ故、利息や配当の支払いの停止や、債券価格の下落などを考慮しておかなくてはいけません。基本方針としては元本価値の上昇によって相当の利益が見込まれる場合に限ってリスクをとることです。
割安でなければ手を出さない!
肝に銘じておきましょう。
グレアムさんは外国政府債についても用心するように言ってましたね。
ノルウェーやオーストラリアの政府債のように、とくに心配するような理由のない政府外国債もあるにはあるわけですが、キューバ債、ギリシャ債など大きな損失を被る外国政府債もあります。
また、金利変動などで大きく価格の下落するリスクもありますし、満期前に売却しようとする場合、債券の種類によっては取引量が少ないため、買い手が見つからず、時間がかかったり、希望の価格で売却できないこともあります。
果たして、リスクをとるだけの価値が政府外国債にあるのか。
用心を忘れてはいけませんね。
新規発行証券については、少し長くなるので次の章に渡します。
新規公開株式(IPO)について
第6章では、新規公開株式の危険性について多くの指摘がなされていますが、まずは新規公開株式について簡単にまとめてみます。
そもそも、株式による資金調達には二つの方法が存在しています。
一つ目は、すでに上場している企業が株式の追加発行という形をとる場合です(株主割り当て増資)。この場合は、企業が追加で発行した株式が既存の株主に対してその株主の持ち株比率に応じて割り当てられます。要は企業が増えた分の株式を、引き受けてくれますかと株主に言う感じですね。
二つ目は、IPOと呼ばれるもので、こちらの場合は、上場していない会社が株式市場に上場し、一般投資家にも株を買ってもらうことを指します。
一般的にIPOは値上がりする可能性が高い投資商品として知られています。
理由は、公開時に株価が割安に設定されているからです。
もともとの株価が安いわけですから、上場と同時に株価が適正な価格まで上がり、そこで売り注文を出せば利益が得られるという理屈ですね。
IPOの危険性は?
なるほど、IPOとはそもそも価格が低く設定してあって、価格が上がりやすい投資対象なのですね。
これは、非常に魅力的です。
しかし、なんと、グレアムさんからIPOに関してあまり良い意見は聞かれませんでした。
グレアムさんの挙げる理由は以下です。
上昇相場においては相次いで新規株が公開されていくものの、上場する企業の質は徐々に落ちていく。
つまり上昇相場において、相場の価格が上がってきているのに会社の質が下がっているというのは、低い質の会社の株を割高で買わされているということになります。
IPOを薦められたら、まずは相場観から、割高で買わせられていないのか?この企業は信頼できるのか?立ち止まって考える必要がありますね。
二つ目の理由は、IPOは保有するには向いていないというものです。
IPOは、短期投資には向いているかもしれません。公募価格が、初値を下回る可能性はそこまで高いわけではありません。しかし、IPOを公募価格で手に入れることが出来るのはくじ引きを当てるようなものでありますし、ほとんどの場合、あなたがIPOの銘柄を購入できるのは、排他的な売り出し価格を大きく上回ったときです。
同書では、1980~2001年の間で平均的なIPO銘柄を初値で買い付け三年間保有した場合、市場平均に対して年間23%アンダーパフォームしたとありました(P275)。
グレアムさんは何度も長期投資の重要性を唱っていますが、IPOは長期投資とは結びつかない投資対象と言えるでしょう。
もし、あなたがIPOに興味があるのでしたら、絶対に長期的ではなく、短期投資の範囲でされることをお勧めします。
まとめ
- 優良な優先株は機関投資家に任せること
- 劣後債や優先株は割安でなければ手を出すべきではないこと
- 利回りが魅力的であっても、外国政府債は避けること
- 新規発行証券についても用心すること
- IPOは短期投資、公募価格で。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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