『新・賢明なる投資家』備忘録⑧第7章(積極的投資家の投資ー積極的な方針)

皆さんこんにちは!

 

この記事は『新・賢明なる投資家』第7章(積極的投資家の投資ー積極的な方針)の備忘録になります。

 

グレアムさんは、平均以上の投資成果を出すことを目的とする積極的投資家は、証券価値に対する莫大な知識を必要とする為、大多数の投資家は安全・シンプル・相当な収益を旨とする防衛的な投資家に徹するべきであると述べています。

 

私もその意見に大賛成です。

 

その為、この記事では広く防衛的な投資家にも有益な点だけを取り扱っていきたいと思います。

 

成長株への投資

成長株とは、過去に好ましい業績を上げ、今後もそれが期待できる株式の事です。ちなみに、単に将来において平均以上の収益が見込める企業、いわゆる将来性のある企業とは違います。

 

成長株と呼ばれる銘柄は、企業が将来的に発展していくにしたがってその株価が上昇し利益を受けられる可能性が高いために、非常に魅力的な投資対象と言えます。

 

しかし、このような成長株を選ぶにあたって気を付けなくてはいけない点をグレアムさんは挙げています。

 

一つ目は、

これまでに株価が安定しており、この先も安定して成長が見込める企業の株価は、一般的にそれ相応に高いと言う事です。

 

例え、将来的に企業が大きくかつ安定的に成長していく事が見込まれていたとしても、すでに市場がその期待を織り込んでいった場合は株価が思うように上がらないという事も考えられます。

 

二つ目は、

対象企業の将来性に関して誤った判断をしてしまう可能性があるという事です。

 

一般法則として、成長は進めば進むほど鈍化する物でありますし、急激な成長が見られた後にそれを超える成長をすることは難しいです。現時点でかなり良い成長を見せているからと言って、その企業においてその時点での成長がどの段階にきているのか、あとどれくらいの成長余力や余地が残っているのかを判断することは難しい事です。

 

しかし、

そのような危険性が存在するとは言え、成長株への投資で巨万の富を得た人たちがいるのもまた事実なわけです。将来的に大きな期待のある企業へ自己の資産を多く投じ、その株式を保持し続けることで多くの利益を上げてきたケースはたくさんあります。気を付けさえすれば魅力的な投資対象であるような気もします。

 

グレアムさんは、このような意見に対しても同書内で触れています。

 

一つの企業に投資したことによって巨万の富を手にしたのは、ほとんどの場合、その企業の一員であるとか、オーナーの親族であるなどといった強い繋がりをもった投資家なのである。彼らはその立場ゆえに、自らの財源の大部分をただ一つの対象に絞り込み、その価格の変動に踊らされることなく保持し続けたのだ。(P286)

 

おそらく、このような人たちは、その企業の成長や市場の動きの中で幾度となく出現した売りの絶好の機会を見送ってきたことでしょう。果たして、そのようなことが一般的な投資家にできるのでしょうか。

 

無理でしょう。

 

企業の業績は好調の時もあれば、不調の時もあります。リーマンショックのような金融危機に遭遇する可能性もあれば、自然災害に巻き込まれる可能性だってあります。様々なリスクの下で刻々と変化する状況において、投資家は過度なリスクを避け、相当な収益の為、適切なリスクの管理をするものです。なぜなら、それが長期的な自分の利益につながるものであると知っているからです。だからこそ、将来的にいつか訪れる、相当な利益を得れるポイントや過度なリスクになるポイントで、必ず一般的な投資家は株式を売却する選択をするのです。

 

成長株への投資をする際は以上の事を念頭に投資戦略を考えていかなくていけません。

 

成長している企業だからと言ってすぐに飛びつくのがどれだけ合理的では無いのかがわかりますね。

 

人気のない大企業

上に挙げたように、成長株のような注目度の高い銘柄には、市場の投機的な要素がからみ、比較的高い価格が付くことがあります。

 

しかし、

これは裏を返すと、一時的な不況により停滞している場合など何かしらの理由で市場の意識が向いていない、注目度の低い株式は実際の価値に比べて相対的に低い評価を受ける可能性もあるという事になります。

 

それ故、

そのような過小評価を受けている企業の株式を手にすることで、時がたち業績が回復した場合や収益が上がった場合に大きな利益を出すチャンスにもなり得るのです。

 

しかし、

もちろん、どのような企業でもよいわけではありません。

 

グレアムさんは大企業に集中すべきであると述べます。

 

小企業のなかにも同様の理由で過小評価されていて、時がたてば収益も株価も上がる企業も多くあるだろう。しかし、小企業は収益が全くのゼロになる可能性があり、また、収益が上がったとしても市場から無視され続ける可能性がある。(P288)

 

この点、大企業ならば一時の停滞があってもそれを跳ね返すだけの人材や資本を持っている場合が多く回復の見通しを持ちやすいですし、市場からの注目も元々高いために、収益・株価の回復をきちんと市場が反映してくれる可能性が高いです。

 

では、どのようにして人気の無い、つまり割安になっている大企業と判断するのか?

 

おそらく、株価収益率を手掛かりとする人が多いのではないでしょうか。

 

しかし、この株価収益率を利用するにあたっての注意点をグレアムさんは指摘しています。

 

さまざまな方法で収益を得ているために本質的に投機的である企業の株は、好景気時には比較的高い価格か低株価収益率、逆に不景気の時には低価格かつ高株価収益率となる傾向がある。(P290)

 

簡単に言えば、高い収益は控えめに評価され、低い収益が高めに評価されてしまう傾向があるという事です。

 

その為、

グレアムさんは、過去の平均収益や似たような試算から、株価が安いのかどうか検証する作業を併せることを薦めています。

 

まとめ

この先も安定して成長が見込める企業の株価は一般的にそれ相応に高い

 

対象企業の将来性に関して誤った判断をしてしまう可能性

 

成長株で巨万の冨を築くのは株式を保持し続けられるもの

 

人気の無い大企業にはチャンスがある

 

 

ここまで、お読みくださりありがとうございました。

 

割安証券や、企業合併・吸収に関するところに関しては、後々追記として出すか新たにまとめて記事にするのか悩み中です。

 

 

備忘録⑨はこちらから!!

jeconomy.hatenablog.com