『新賢明なる投資家』備忘録⑫第11章(一般投資家のための証券分析)

皆さんこんにちは!

 

この記事は、『新賢明なる投資家』第11章(一般投資家のための証券分析)の備忘録になります。

 

ちなみに、『新賢明なる投資家』は上下巻に分かれていて、11章からは下巻に入ります。半分来ました(笑)

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

証券分析は専門家に任せるべきではないのか?

何度も述べているように、第11章は一般投資家の証券分析に関して言及されているわけでありますが、正味、読む前は何を目的にこの章を読めばいいのかわかりませんでした。

 

確かにどのように証券分析をしていけばよいのかは投資家にとっての一つの関心ごとではあるのですが、前章でファイナンシャルアドバイザーに触れたように、そもそも証券の分析に関しては専門家に圧倒的な優位があるわけです。

 

人材の数も質も異なれば、蓄積しているデータの量も異なります。一般投資家家ではおおよそ理解することすらできないような高度な数学理論を展開することもあるでしょう。

 

そしてそのため、

一般投資家は信頼できる専門家に証券の分析は任せるべきではないのかとも考えられるわけです。

 

しかし、

この点に関してグレアムさんは一般投資が証券分析を知る意義について章の冒頭で述べてくれています。

 

少なくとも投資家は証券アナリストが何を言わんとしているかを理解し、さらには可能ならば表面的な分析と適切な分析とを見分ける術を身に着けるべきである。(P10)

 

証券の分析にはプロフェッショナルな証券アナリストがいます。

 

しかし、

一般の投資家は、そのような人々の言葉を鵜呑みにすることは決してするべきではありません。

 

グレアムさんが、同書内で何度も繰り返し述べていることは、未来に確実性を求めてはいけないという事です。

 

どれだけ優秀な証券アナリストであってもどの企業の銘柄が将来上がるのかを言い当てることは保証出来ません。

 

しかし、

アナリストにも出来ることはあります。

 

少なくとも大部分の証券アナリストや投資家たちには、確実な予想などできない。しかし、どの企業に研究の価値があり、設備や人的資源が整っているのかを事前に言い当てることに成功し続けている、(P19)

 

投資家は、アナリストに銘柄の将来を訪ねることはできずとも、彼らの分析を参考にすることはできるのです。ただ、その際にアナリストの分析を理解できること、自分の投資戦略に沿ったものであること、信頼に足るデータであること、これらの事柄を自分で判断できる力をつけなればならないのです。

 

では、どのようにそうした判断力を磨けばいいのでしょうか。

 

おそらく、

どのように証券分析が行われているのかを理解することが第一歩となるでしょう。

 

証券分析のポイント

 具体的な手法についても『新・賢明なる投資家』第11章では述べられていますが、筆者が現時点でその手法の今日性を判断することができていないので、ここではどのようなポイントで証券分析がされているのかを見ていこうと思います。

 

①将来の収益力:

 株の価値を分析するにあたって、第一の要因として挙げられるのが企業の将来の収益力です。またこの時に注意しなくてはいけないのは将来の収益とは違うという事です。

 その企業がたとえ将来の収益予想が良かったとしても、市場の不確実性として競合他社の参入など企業の収益を脅かすさまざまな要因が存在しています。

 それ故、将来も売り上げが大きいかという目線よりも、将来も売り上げを伸ばす力があるのかという目線が重要となるわけです。

 

②全般的な長期の見通し:

 何度も述べていますが、将来を見通すことは誰にもできません。

 しかし、現実的な問題として、株価の価値には将来の見通しや期待が加味されることも多いのです。

 

 例えば、1963年末におけるダウ平均採用の化学企業は、石油会社より株価収益率がかなり高く、石油会社よりも化学企業の方が将来性を高く評価されていたことがわかる。(P20)

 

 

③経営者:

 経営者の能力を定量化して計る事は大変難しい事ですし、経営者が優秀だからといって企業が必ず成長するかと言われればそんなことはありません。

 しかし、これも一つの分析要因として用いられるのは、逆の場合、つまり無能な経営者の下においても、企業が発展を続けていく事が出来るとは考えにくいからです。

 

企業のトップは有言実行でなければならない。過去の年次報告書を読み、経営者がどんな予測を立てたのか、またそれらを実現できたのか、それともできなかったのかを調べなければならない。(P45)

 

 

④財務内容の健全性と資本構成:

 当たり前の事ではありますが、借金が多い企業と少ない企業では、借金が少ない企業の方がビジネスの安定性が高いと判断できます。

 もちろん、これは原則的な話です。借金すべてが悪いわけではなく、むしろ適切な範囲内での借り入れならば、投資によるリターンを得ることで、将来的な収益力の向上につながるものです。

 証券分析の際には、どのような質のまたは量の債務があるのか。その使用用途は、返済のめどは、といった様々な角度から企業の財務内容について調査する必要がありす。

 

 株価及び、一株当たり利益が同じならば、多額の余剰現金を有し、かつ優先証券の発行が皆無の企業の方が、優先証券を発行し多額の銀行借入もある企業より、はるかに優れた投資対象である。(P23)

 

⑤配当実績:

 証券分析をする際は、いかにして膨大な数の銘柄をフィルターにかけ、効率的に分析していくが重要な点になります。

 あなたが、賢明なる投資家でいたいとおもうのなら、それは長期投資の視点に立ち、株価の実質的価値と配当に注意を向けている事と思います。

 しかしそれならば、長期間にわたって配当を滞りなく支払えている企業以外を選定する道理はないはずです。

 

防衛的投資家の場合。こうした基準を[過去二十年にわたって滞りなく配当]満たす銘柄に投資を限定したほうがよいだろう。(P24)

 

⑥現在の配当率:

 配当率の高い銘柄を魅力的な投資対象と考える投資家は多く存在している事でしょう。しかし、グレアムさんがもっとも扱いが困難な要因であると述べた通りに、適切な配当率というものを考えるのは非常に難しいものです。

 

 高い配当率を設定する企業はどのような企業なのでしょうか。

 

 高配当を実現することが出来る、強い収益力をもった企業でしょうか?

 

 資金を集めるために、わざと魅力的な銘柄に見せているのでしょうか?

 

おそらく、どちらもあっている事でしょう。

 

しかし、

一つだけ確かな事を挙げるとするのあれば、平準を逸脱する者には何かしらの理由があるという事です。

 

 投資とは相当な利益を目指すものです

 

標準範囲外の配当には、マイナスの評価をつけておくことが防衛的な方針として合理的でしょう。

 

まとめ

アナリストの言っていることを判断できる知識をつけよう

 

証券分析基本のポイントは五つ

  • 長期の見通し
  • 経営者
  • 財務内容の健全性と資本構造
  • 配当実績
  • 現在の配当率

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

備忘録⑬はこちらから!!

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