『新賢明なる投資家』備忘録⑳第19章(株主と経営陣ー配当方針)

皆さんこんにちは!

 

この記事は、『新賢明なる投資家』第19章(株主と経営陣ー配当方針)についての備忘録になります。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

『新賢明なる投資家』第19章では、株主の経営者に対する態度や責任について述べられています。

 

この章は、他の章に比べてかなり少ない分量となっています。

 

と言うのも、

第四版が発刊されるにあたり文章が改訂され、その際分量の4分の3が削られてしまったからです。

 

この辺の理由については、グレアムさんの判断で必要ないとの判断だったのでしょうが削除した部分も読みたいという方は、第四版以前の『賢明なる投資家』をお読みくださることをお勧めします。

 

では、実際の内容に入っていきましょう。

 

事業所有者としての株主

 本文においてグレアムさんは以下の三つの状況が見られる場合には経営陣への問題提起をするように主張しています。

 

①満足できる成果が出せなかったとき、②状況の似ている他社に比べて成果が悪かった時、③長期にわたって満足のいく株価水準にならないとき-である。(P339)

 

この点は非常に重要な提言として聞き入れていかなければならないものですね。

 

一般的に、

投資家は株式を購入するは、どのような銘柄を買うのかについて特段の注意を持っている事と思います。

 

しかし、

一度株式を購入してしまうと、あとはもうただ保有しているだけで意識するのは株価や配当の事ばかりという状態になってしまうのがほとんどではないでしょうか。

 

グレアムさんはこの状態、つまりは株式を購入したの状態ににメスを入れているわけです。

 

もっと、購入した株式の企業経営にも目を向けなさいと。

 

ウォーレン・バフェットも、

 

”株券ではなく事業を買う”

 

という言葉を残しています。

 

株券を購入する前と同じくらい株主は企業の経営に注意するべきであり。

 

仮に、

上で挙げたように経営陣がきちんとした成果を挙げられなかった場合には叱咤激励することが、賢明なる投資家において特に株主としての責任であるということなのでしょう。

 

また、

株主の態度についてこのようにも言っています。

 

しかし株主は、企業の明らかに不満足な経営状態にメスを入れたがっている株主仲間から送られる委任状はどんなものでも、偏見を持たず、そして用心深く熟考するよう祈りつつ締めくくりたい。(P341)

 

経営方針について異議を唱えたいと言う他の株主には真摯に向き合いなさいとの事ですね。

 

経営陣と戦う事はとてもエネルギーのいることです。

 

それでも、そこを株主として変えたいと動いてくれる人は本当に素晴らしいと思います。

 

そのような人たちに対して常にリスペクトをもっていられる投資家になっていきたいものです。

 

配当方針

企業は株主に対してどのように配当を行っていくべきなのか。

 

この点に関しては、経営陣と株主の間には典型的な対立があります。

 

即ち、

再投資や経営の安定性の為になるべく収益を留保したい経営陣

 

VS

 

配当をきちんとはらいたまえよと言う株主

 

ですね。

 

では、この論点に関してグレアムさんはどのような意見を述べているのでしょうか。

 

われわれは、株主は経営陣に対して収益のおよそ三分の二を配当として支払うか、もしくは再投資した利益が一株当たりの収益を十分上げたという明確な証拠を示すように要求すべきだと考える。(P345)

 

簡単に言うと、、

 

基本的に企業は、株主に対して相当な配当を支払うことが前提です、

 

ただ、

 

もし、収益等を配当ではなく再投資に使いたいと言うのならば、その再投資が本当に有益であることの証拠を出さんかい。

 

という事ですね。

 

まあ、当たり前っちゃ当たり前ですよね、

 

もちろんこれがどのような企業にも当てはまることでは無いです。

 

成長企業ならば、再投資による利益の伸びも期待できていいかもしれませんが、仮に経営がうまくいっていない企業や、財務状況が悪い企業が再投資を理由に配当を抑えますといっても、それは筋が通らないですよね。

 

そう考えてみると、

株主として大事なことは、経営陣が誠実に配当を支払っているのか、収益を会社の発展のために使っているのか、株主の事についてきちんと考えているのか、と言った事柄について目を光らせ、非難すべき点があった場合には声をあげることだと考えられますね。

 

 

株式分割

グレアムさんは株式分割についても触れています。

 

まずは株式分割とはどのようなものなのかについて見ておきましょう。

 

株式分割とは?:

 

 株式分割とは、1株をいくつかに分割して発行済み株式数を増やすことです。例えば、ある企業が一株100円の株式を100株発行していたとします。この時、この企業が株式を1:2(一株を二株に)の割合で分割すると、一株50円で200株となります。ポイントは、時価総額が変わらないと言うところです。もしあなたが、株主で10株=1000円分持っていたとしたら、分割後あなたは20株=1000円分を持っていることになります。

 

 

それでは次に、グレアムさんが株式分割に関してどのようなことを言っているのかについて見ていきます。

 

もし彼がこの再投資された利益を示す株式配当として受け取った株を現金化したいと思ったら、以前から持っていた株券に手をつける必要はなく、新たに送られてきた株券を売却すればよいのである。またこの株式配当をそのままにして一〇五株持っていたとすれば、一〇五株に対して以前の配当率で現金配当を受け取れるので、この株式配当によって現金配当が五%増加したのと同じ効果が得られるのだ。(P347~348)

 

グレアムさんは株式分割に関しては、肯定的な意見のようですね。

 

株式分割のメリットとして有名なものは、株価が下がることによって株式取引の流動性が上がり、株式の需給が高まることです。

 

グレアムさんはこのこと以外にも上記引用のように、

 

・株式の保有数を変えることなく現金化が出来る事、

 

・配当金が増加すること

 

を挙げています。

 

まあ、これらの点についても時代の流れとともに様々な議論があるわけではありますが。

 

何はともあれ、

株式分割によって株価が上昇する傾向にあるのは認められている事ですし、株主の選択肢が増えるという点においても良い事には変わりがないのかなと個人的にも思います。

 

まとめ

・株主は事業を持っているという意識で

 

・企業の経営がうまくいっていない場合にはきちんと声を上げよう

 

株式分割は投資家の選択肢を増やす

 

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。