『ウォール街のランダムウォーカ―』備忘録⑬第十三章(投資家のライフサイクルと投資戦略)

皆さんこんにちは。

 

この記事は『ウォール街のランダムウォーカ―』第十三章(投資家のライフサイクルと投資戦略)の備忘録になります。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

 

jeconomy.hatenablog.com

 

前章、第十二章では債券や株式におけるリターンの構成要素から21世紀におけるリターンの予想について見ていきました。

 

本日扱う、第十三章では投資家それぞれのリスク許容度やライフステージと投資の関係について述べられています。

 

どのような投資に関するヒントを得ることが出来るのか見ていきましょう。

 

リスク許容度について

ここまで 『ウォール街のランダムウォーカ―』では、リスクについて各投資家の選好度を中心に議論を進めてきました。例えば、資金を失うリスクをなるべく減らすことに重きを置く防衛的な戦略や市場平均を超える可能性を求め積極的な取引をする戦略など、リスクはリターンとの関係の中で各投資家のリスク選好度で決定するのですと。

 

しかし、

このリスクについて、第十三章ではもう少し踏み込んだ各個人のリスク許容度について考察されています。

 

リスク許容度とは文字通りどの程度までのリスクはとれるのかという線引きの問題のことです。リスクの選好度との違いは、選好度の場合はどれだけのリスクを自分がとりたいのか、という希望を指しているのに対し、リスク許容度はどれだけのリスクを自分がとれるのか、という限界を示している点です。

 

では、

投資家のどのような要因がリスクの許容度と絡んでくるのでしょうか。

 

この章では、投資家のリスク選好度、つまりうまいものにありつきたいのか、それとも夜ぐっすりと眠りたいのか、の両極のどの辺に属しているのかにかかわらず、個人の年齢、所得水準、人生の中で負っている責任の度合いなどが、ポートフォリオの資産ミックスの選択に大いに影響することを説明していく。(P392)

 

マルキールさんは本章において、年齢などのライフステージとリスク許容度の関係を見ていくと述べていますね。

 

確かに、

若い独身の男性と家族持ちの男性の場合では取れるリスクが異なってくるのは当たり前ですもんね。また、所得水準の違いにおいても、それは希望の投資対象が購入できるかどうかに大きく関わってくるのですから重要な点ですね。

 

アセットアロケーション四つの前提

ライフステージに合わせたリスク許容度についてマルキールさんの考えを見る前に、これを考える上での前提条件を明確にしておく必要があります。どのような前提条件のもとにリスク許容度が考えられているということをまずは理解しておきましょう。

 

①:リスクとリターンは正比例

まず一つ目の、前提条件はリスクはリターンに正比例するというものになります。言い換えれば、リスクが増えればリターンは増えるし、リスクが減ればリターンは減るということです。

 

第九章では、現代ポートフォリオ理論を学ぶとともにハイリスクが必ずしもハイリターンというわけではないということを学びました。

 

第九章はコチラから!!

jeconomy.hatenablog.com

 

 

あれ、言っていることが違うのでは?と疑問に感じた方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。あくまでも、現代ポートフォリオ理論のところで言っていたのは分散投資によるリスク低減効果の話であって、要はあるリターンをなるべく低いリスクで実現するにはどうすれば良いのかという事です。

 

ハイリターンであるほどハイリスクというのは一般法則として認められるものです。

 

 

②投資リスクは投資期間による:

皆さんは大数の法則というものを聞いたことがあるでしょうか。大数の法則とは試行回数やサンプル数が多ければ多いほど、事象の結果は計算上の確率に近づくという法則のことです。

 

パチンコ店や宝くじが利益を上げられるのはこの大数の法則のおかげなんです。

 

では、

投資とはどのような関係があるのでしょうか。

 

投資におけるリスクの度合いは値の散らばりを示す標準偏差や分散によって表わされることが多いです。そして、これらの数値は投資期間が長ければ長いほど低くなります。なぜなら、投資期間が長くなるほど短期間に起こり得る大きな相場の上下が平均化されていくからです。

 

本文中の言及にも触れておきましょう。

 

一年間だけをとれば、三回に一回の確率で債券やマーケット・ファンドのほうが株式投資より高いリターンに終わる。しかし、投資期間が二〇~二十五年と長期になると、例外なく株式の方が高いリターンをもたらすのだ。(P397)

 

長期になれば期待できるリターンが実現する確率も上昇するという主張の裏付けになっていますね。

 

 

ドル・コスト平均法の効果:

 投資に興味がある方には聞き馴染みがあるのではないでしょうか。ドル・コスト平均法とは、一定の金額を毎月もしくは毎四半期などの一定の期間で、同じ投資対象に対して長期間投資をし続ける方法です。

 

ドル・コスト平均法のメリットは一つ目に、高値掴みをしてしまう可能性を低減できることです。ドル・コスト平均法の場合は毎月のようにコンスタントに買い続ける投資方法なので、高い時だけを買い続けるという事にはなりません。二つ目に、同金額ずつ購入するので自然と、投資対象が高値の時には少なく、安値の時には多く購入することが出来ます。

 

とはいえ、

もちろんデメリットもあります。

 

それは手数料です。

 

定期的に購入するためドル・コスト平均法は手数料が大きくかかります。なので、手数料がかからない金融機関で取引をするとか、購入期間を調整するなどの対策をとることをお勧めします。

 

銀行などの金融機関にとっては中長期的に手数料収入が望める積み立て投資は魅力的なもです。そのためドル・コスト平均法の利点だけを言って、手数料をちゃんと説明しないセールスもあります。ぜひ、この記事を読んだ皆さんにはドル・コスト平均法を利用する場合、たとえば積み立て投資などの商品を購入する場合には、必ず手数料のシミュレーションをしていただきたいです。

 

若しくは銀行員さんに聞いてみてください。

 

もごもごしてるようだったら席立っちゃってください。

 

④選好度と許容度を絶対に区別する:

冒頭でも述べた通り、リスクの選好度と許容度は似ているのは字面だけで中身は全然違います。

 

もう老い先短いのに成長企業の株を持って値上がりを願うのはよく分かりませんし。

 

長期間投資できるのにほとんど債券を中心に投資をするのは防衛的すぎます。

 

自分らのライフステージとともにリスクの許容度は変化するのだという事を前提として投資戦略を考えていく必要があります。

 

選好度は変わらずとも、許容度は変わる。

 

是非、座右の銘に。

 

マルキールさんの投資手引き

それでは、以上の前提を踏まえてマルキールさんはどのようなヒントを私たちに与えてくれているのでしょうか。もちろん、これからご紹介するのはあくまでも基本指針的なものでどのような場合においても成立するものではないことはご理解ください。

 

①何のためのお金か?

 ”この若い夫婦が一年後に住宅購入の頭金として三万ドル必要だと仮定しよう。この三万ドルは必要な時に現金が確実に手に入るような安全な形、例えば一年物の譲渡性預金のようなもので運用するのが賢明である”(P405)

 

 投資する場合には何のための資金なのかをはっきりとさせておく必要があります。なぜなら、それによってどれくらいの期間運用が出来るのか、どれくらいのリスクをとれるのかが大きく異なってくるからです。

 

 

②リスク許容度の確認

 ”一般的なガイドラインとして、個人の投資資金を各種資産にどのくらいの割合で配分すべきかを示すことは可能である。しかし、それが本当にあなた自身にとって最適な資産構成になっているのかは、あなたがそれで夜ぐっすりと眠れるかどうかにかかっている。”(P406)

 

 リスクの許容度を見極めるのは、結局のところ自分自身です。どれくらいのリスクなら生活に影響しないのか。仮にリスクが実現したとしてその時の自分はどうなるのか。考えてみることです。また、投資家のリスク許容度に関する心理テストも存在しています。活用して判断材料にするのもよいでしょう。

 

 

③規則的かつ長期的に

 ”財産の少ない人たちのほとんどは、資産形成なんてほとんど不可能と諦めている。~中略~しかし、あきらめることはない。規則的に毎週、給与から自動引き落としになる銀行預金のように積み立てを行っていけば、ある程度の期間うちにまとまった資金になる。”(P407)

 

 規則的にかつ長期間にわたっての投資は現実的に相当な利益をもたらしてくれる可能性が非常に高いです。それが例え毎月の少額積み立てであってもです。老後2000万円なんて一時期はやりましたが、30年ほどの長期にもわたってコツコツと続けることが出来るのなら、2000万円を老後に残すのも現実的な話です。

 

 

まとめ 

・ライフステージに合わせたリスク許容

 

・長期的・規則的が大事

 

・何のための投資なのかをはっきり

 

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

備忘録⑭はこちらから!!

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