『ケインズ投資の教訓』投資をする時に必要な心得・鉄則10ヶ条!!
投資家に必要な教訓・心得・鉄則を知りたい方へ
「この記事では、投資家に必要な心構え・心得・鉄則の10ヶ条をジョン・F・ワシック著『20世紀最高の経済学者ケインズ投資の教訓』を用いて紹介していきます。」
- 著書紹介:『20世紀最高の経済学者ケインズ投資の教訓』
- ケインズ投資の教訓:その1
- ケインズ投資の教訓:その2
- ケインズ投資の教訓:その3
- ケインズ投資の教訓:その4
- ケインズ投資の教訓:その5
- ケインズ投資の教訓:その6
- ケインズ投資の教訓:その7
- ケインズ投資の教訓:その8
- ケインズ投資の教訓:その9
- ケインズ投資の教訓:その10
- まとめ
- もっと詳しく知りたい方へ
著書紹介:『20世紀最高の経済学者ケインズ投資の教訓』
『20世紀最高の経済学者ケインズ投資の教訓』は投資分野を中心に活躍するジャーナリストのジョン・F・ワシックが経済学者としてのケインズではなく、投資家としてのケインズに焦点を当て、彼の投資家人生をを振り返り、そこから今尚今日性をもつケインズの投資観を10ヶ条としてまとめたものである。個人の感想としては、投資に関する重要な知見を得る事が出来ただけではなく、彼の投資手法が人生を通じてどのように変化したのかを知ることが出来てとても興味深い内容だった。
ケインズ投資の教訓:その1
長い目で見れば株式は債権に勝つ
もちろんこれは、常に正しいわけではないが一般論としては正しいという事が出来る。
イボットソン・アソシエイツによれば、1926年~2012年にかけての大型株のリターンは平均9.8%、小型株は12%近かった。それにたいして長期の社債は6.1%、米国債は3.5%だ。(P222)
どうして、株式は一般的に債権よりも強いのだろうか?
これに対して、本書では株式の内部留保と配当を指摘していた。
つまり、
株式の場合は企業の経営状態が良くなれば株式の配当が増えるし、投資家も株価をせり上げようとする。しかし、金利の固定された債権ではこのような事はおこらない。債権を持つだけではリスクという意味では小さいだろうが、お金持ちになる事やインフレに勝つことはできないのである。長期的には、一定のリスクをとることで、株式を持つことが投資家にとっては有効な選択肢なのである。
ケインズ投資の教訓:その2
投機は危険なゲームである
本著では、
ケインズの著書『一般理論』を借りて「投資」と「投機」の違いを明確にしている。
投資とは、ある資産の全存続期間にわたる見込み収益を計算すること。
投機とは、市場の心理を予測すること。
ケインズは歴代でもっとも優秀な経済学者の一人である。その膨大な知識は自他ともに認めるところであり、彼自身はその卓越した知識を持って、通貨やコモディティ(商品価格)の市場変動を解明・予測することが出来ると信じていた。
しかし、ケインズ自身の膨大なる調査とその投資経験から導き出された答えは、そんなことは不可能であると言う全く逆のものであった。
大量の統計データを消化し、過去と現在の市場の環境を読み解くことは可能であっても、その調査に未来を予想する力があるとは限らない。
~(中略)~
なぜなら、市場の動きに関するすべての重要な事実を知ることはたぶんできないからだ。投機は危険なゲームなのである。(P223)
また、ケインズは「雇用利子および貨幣の一般理論」の第12章において、投機の不安定さについてアニマルスピリットという言葉を用いて考察しており、生涯にわたる投資成績を決するのは投機的リターンではなく投資的リターンなのだと-エモーションではなくエコノミクスなのだと-強調している。
アニマルスピリットについて詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので参考に。
ケインズ投資の教訓:その3
可能性と確実性を同一視しない
情報技術が発展した現代社会では、一流アナリストのレポートや最新のテクニカルチャートを手に入れることは簡単にできる。しかしケインズの言うようにそれらの情報は個別株や経済全般に関する市場のリスクからあなたを守ってくれるものではない。
市場に存在するリスクというのは、しばしば巨大な企業でさえ一撃で消し飛ばすほどの威力を持っている。2008年の金融危機でリーマンブラザーズが破綻したのは良い例だろう。投資家は常にどれだけ自分が定量化できない市場の不確実性にさらされているのかに敏感でなくてはいけない。
定量化できない不確実性は投機家の不倶戴天の敵だが、賢い投資家がきちんと予習をしていた場合は、それを買いの好機にすることも可能だ。(P223)
ケインズ投資の教訓:その4
相反するリスクでポートフォリオのバランスを整えよう
相反するリスクに注意を払う事が出来ていれば、あなたのポートフォリオをより安定したものにすることが出来る。例えば株式市場の下降局面にあたって、全く関連の無い動きをする資産(債権・不動産・コモディティなど)をバランスよく保有するのである。こうすることで、株式市場の変動に対してクッションとなってくれる。
分散投資は極めて重要度が高く、投資家として生き残るための要諦だ。債権を持つのは退屈かもしれないが、2008年には安全な避難所になった。(P224)
ケインズ投資の教訓:その5
バリュー投資をせよ
ケインズは1929年の金融危機における市場の暴落を受け、企業の内在価値に注目した。
ベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットらの一流投資家も言うように、うまく経営されている会社はその価値を高めることが出来る。そして市場は必ずしもその事実を株価に織り込んでいるわけではない。つまり、企業の価値に対して安売りされているのである。
バリュー株をポートフォリオの中心にするべきだ。企業の簿価やPERに目を向けよう。競合他社と比べて、その数値はどうだろう?他のバリュー投資家は何を持っているだろう?バリュー投資のポートフォリオを組むときは未来を見据えよう。これから10年、その株を持てるだろうか?(P225)
ケインズ投資の教訓:その6
配当は嘘をつかない
1930年代、ケインズは公益企業の株を大量に売買した。これは、経営が安定しており、また企業としての耐久力が優れている会社の株を買う事で、1929年の金融危機による彼自身のポートフォリオの棄損を埋めるためだけではなく、安定した収入を確保しようとしたのである。
着実に増配をしている会社はどれか?
安定して今後も配当を受けることが出来るのか?
このような視点で判断し、着実かつ長期的な視点での投資戦略を取るのです。
ただし、配当利回りが高いことはそれだけリスクが高いことを意味します。安定した配当利回りと経営状態に気を配りましょう。
ケインズ投資の教訓:その7
美人コンテストに巻き込まれるな
上でも述べた通り、投機とはギャンブルに過ぎない。市場のトレンドに乗ろうとするのではなく、経営状態が健全で競合他社に負けない強みを持った会社に集中するのだ。市場が全体的に落ち込むと、そのような企業がバリュー価格で売りにだされることがある。それがチャンスである。長期的にみればトレンドに逆らう事は総リターンを大幅に増やすことにつながる。
「美人コンテスト」に巻き込まれるな。「本日の優勝者」にはなれなくても、長い目で見れば勝てる株はいくらでもあるのだ。市場は大体において証券に合理的な値段をつけるが、必ずというわけではない。市場の誤りに付け込もう。(P225)
ケインズ投資の教訓:その8
長期投資を旨とせよ
あなたが市場の心理に翻弄される投機家ではなく、投資家であるならば長期的な視点で投資をしていかなくてはいけない。投資家にとって最も危険なことは衝動的な行動を起こしてしまうとである。市場は常に不確実性を持っている。AIの発達なども相まって、衝動的な売買や市場のパニックが起きた時のボラティリティが大きくなってきている。自分の投資方針を堅持することである。
現在の市場環境が振るわなくても、長期投資の方針で臨んでいるなら、(あなたのリスクに選好度と合致しているならば)何があっても貫こう。年に一度はリバランスを行い、投資方針を再確認するとともに、資産クラスの偏りを正したい。利益が出ている資産は売却してその利益を確定し、過小評価されている資産を買い増すのだ。(P226)
ケインズ投資の教訓:その9
パッシブに投資せよ
資金の大半をインデックスファンドに注ぎ込むのは、有効な投資戦略の一つである。
理由は、主に二つある。
一つ目は、インデックスファンドを持つだけで、リスク分散が出来てしまうからである。インデックスファンドはまさに市場そのものである。市場を予想することは何度も言っているが難しい。だからこそ、インデックスファンドによって市場が受けているものをそのまま享受できるようにするのである。
二つ目は、コストの削減である。
アクティブファンドの場合は、年間の信託報酬は、預けた資産額の平均1.3%が相場である。加えて、証券を売買する際には取引手数料をやファンドの販売手数料がかかる。一方、インデックスファンドの信託報酬は年に0.06%ほどである。
2009~12年の間にS&P500種指数はアクティブファンドの64%をアウトパフォームした。中型株ファンドの75%はS&P中型株400種指数に負け、小型ファンドの63%はS&P小型株600種指数に後れを取った。(P227)
ケインズ投資の教訓:その10
もっとシャンパンを飲もう!
ケインズは、死ぬ前にもっと人生を楽しんでおけばよかった、シャンパンを飲んでおけばよかったと言ったようです。
皆さんは何のためにお金を得るのでしょうか?
お金は、あなたのしたい事や欲しいものを得るための手段にしかなりません。
お金に執着するような人生であってはいけないのです。
何のためにお金を稼ぐのか?
何度も自分に問いかけてみるのです。
自分の目標に見合った投資プランを構築し、あとは一年に一回のリバランスに留めおいておけばいいのです。
そして、外に出て、あなたの人生を生きるのです。
まとめ
- 長い目で見れば、株式は債権に勝つ
- 投機は危険なゲームである
- 可能性と確実性を同一視しないこと
- 相反するリスクでポートフォリオのバランスを整えよう
- バリュー投資をせよ
- 配当は嘘をつかない
- 美人コンテストに巻き込まれるな
- 長期投資を旨とせよ
- パッシブに投資せよ
- もっとシャンパンを飲もう!
もっと詳しく知りたい方へ
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