現代ポートフォリオ理論(MPT)とは?初心者向けに簡単解説!!

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現代ポートフォリオ理論とは何かを知りたいあなたへ

「この記事では、現代ポートフォリオ理論とはどのようなものなのか?

その主張・欠点などについて解説していきます。」

 

 

現代ポートフォリオ理論(MPT)とは?

現代ポートフォリオ理論とは、債券や株式などの証券にどのように投資していけばいいのかを考えるための超基本理論です。

 

MPTは経済学者のマーコウィッツによって提唱され、その業績から彼は1990年にノーベル経済学賞を受賞しています。

 

平均=分散アプローチ

現代ポートフォリオ理論おいて、投資家は債券や株式の投資収益率(リターン)の期待値と分散(リスク)の二つの指標に基づいて意思決定をするとされています。

 

そしてその意志決定のルールとなっているのが平均=分散アプローチと呼ばれるものです。具体的には、投資家は以下のルールに基づき意思決定を下すとされます。

 

ルール①:

 リスク(分散・標準偏差)が同じ場合は、より期待値(リターン)の高いほうを選択する。

 

ルール②:

 投資の期待値(リターン)が同じ場合は、よりリスク(分散・標準偏差)が小さい方を選択する。

 

特に難しい主張ではないですよね。

 

同じリスクを取るなら、なるべくリターンが欲しい。

同じリターンなら、なるべくリスクはとりたくない。

 

それだけです。

 

分散投資によるリスク低減効果

 

投資に興味がある方は、分散投資が重要だという話を聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

では、どうして分散投資が大事なのか?

 

現代ポートフォリオ理論的に言うと次のようになります。

 

ポートフォリオ内の各証券それぞれの期待リターンを分散投資による投資割合で加重平均した値とポートフォリオ全体の期待リターンは等しくなるが、ポートフォリオ全体の標準偏差は、ポートフォリオ内の各証券の標準偏差の加重平均以下になるから。

 

え(笑)???

 

数学が得意な方はこれでも分かるかもしれませんが、正直これだけででは分からないですよね。

 

でも、大丈夫です。そもそも、この事柄についてはきちんと数式で証明されている事なので、皆さんは計算する必要はありません。

 

とにかく、皆さんは次のように理解してくれればOKです。

 

鈴木さんがA株式に60万を投資、佐藤さんがB株式に40万を投資、加藤さんがA株式に60万、B株式に40万を投資します。

 

この時、鈴木さんと加藤さんがA株式から受ける期待リターンは同じ

佐藤さんと加藤さんがB株式から受ける期待リターンは同じです。

 

しかし、加藤さんはA株式とB株式の二つを持っているので、二つの株式の間で株価の変動が相殺され、鈴木さんや、佐藤さんに比べリスクが少なくなるのです。

 

このように、

期待リターンを変えずに数字のばらつき(分散・標準偏差)を押さえるポートフォリオの効果を、分散投資によるリスク低減効果と呼ぶのです。

 

分離定理

投資家は、自分にとって最適なポートフォリオを決定するにあたって、2段階に分けて意思決定を行っていると言われています。

 

ではその2段階とは?

 

1段目は、リスク資産(将来得られるリターンが不確実な資産)への投資の最適な組み合わせ問題

2段目は、無リスク資産(将来確実に一定のリターンを得えられる資産)とリスク資産の最適な組み合わせの問題

 

このように、投資家は初めにリスク資産にフォーカスして考え、その後2段階目として無リスク資産との兼ね合いを考える事という風に二つの基準に分離することで、自分にとっての最適ポートフォリオを決定していくのです。

 

現代ポートフォリオ理論の欠点

現代ポートフォリオ理論は現在においても、投資戦略を考える上で重要な役割を果たしているわけではありますが、実務に活かす時には注意しなくてはいけない点も存在しています。

 

ステマティック・リスク

ステマティック・リスクとは、ポートフォリオ理論において分散投資によっては消去することができない市場そのものに存在するリスクの事を言います。

先に、ポートフォリオにはリスクの低減効果があると述べましたが、無限にリスクを軽減できるわけではなく、ポートフォリオによるリスク軽減には限界があるのです。

例えば、海外の資本市場の動向、市場金利の上昇や下落、政府要人の発言、全国的な気候や災害など、あらゆる資産に影響を与える原因によって、証券の価格は変動しますが、これらは企業に起因したリスク変動要因ではなく、市場に起因するリスクであるので分散投資によって対処できるものではありません。

 

リスク評価の危険性

これは現代ポートフォリオ理論だけに適用される点ではありませんが、このような一般法則にはある種の前提条件があるという事を忘れてはいけません。

例えば、現代ポートフォリオ理論を考える時には、会社のリスクや期待リターンを正しく計算し算出できているという事が前提条件として適用されています。

しかしながら、企業のリスクや証券の期待リターンを正確に計算することはとても難しい事です。そのため、現代ポートフォリオ理論における最適ポートフォリオを妄信して使用するのは大変危険です。

あくまでも、基本指針のように適用し、不確実性に対しては最新の注意をもって投資戦略を考える事が必要です。

定期的なポートフォリオのリバランスもすると良いでしょう。

 

用語解説

ここからは、現代ポートフォリオ理論でよく扱われる専門語句の解説をしていこうと思います。

 

最小分散ポートフォリオ

分散で表現されたリスクを最小化して作られるポートフォリオ

このポートフォリオはリターンの水準とは関係なくリスクだけを最小化して作られるポートフォ リオであるため、リスク(分散・標準偏差)が他の種のポートフォリオに比べて小さくなる傾向があるものの、リターンも小さくなる。

 

効率的フロンティア

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画像:http://www.nsspirit-cashf.com/manage/port_risk.html

最小分散ポートフォリオの集合を最小分散フロンティアと呼ぶが平均=分散アプローチ上、最小分散ポートフォリオの中でより有利なポートフォリオが存在しないポートフォリオの集合を効率的フロンティアと言う。

 

効用無差別曲線

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画像:academicentertainment1.blogspot.com/2013/04/1.html

 

同じ効用が得られる期待リターンと標準偏差の組み合わせを結んだ曲線。同一の曲線上にある期待リターンと標準偏差の組み合わせからは同一の効用が得られると考える。


 

MPTをもっと詳しく知りたい方へ

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