『新・賢明なる投資家』備忘録⑩第9章(投資ファンドへの投資)

皆さんこんにちは。

 

この記事は、『新・賢明なる投資家』第9章(投資ファンドへの投資)の内容を備忘録としてまとめたものです。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

 投資手法の一つとして、自己の資金を投資信託に投じることを考えている方も多いのではないでしょうか?

 

しかし、果たして投資信託・ファンドとは自己の投資にとって良い選択と言えるのだろうかと不安な方も多いと思います。

 

『新・賢明な投資家』第9章では、そのような方が持つ様々な疑問に対する提言がされています。

 

今回はそのうちの一部を取り扱います。

 

ファンドは市場平均を上回るのか?

皆さんが投資信託・ファンドを購入する主な理由の一つは、自己の資金を自分で運用するよりは、金融の専門家の下で運用した方がより収益を上げることが出来ると期待しているからではないでしょうか?

 

では、ファンドは市場平均を上回ることが出来るものなのでしょうか。

 

この答えに関しては非常に当たり前であるのですが、

 

ファンドによります。

 

そりゃそうだろと言う皆さんの声が聞こえてきそうですが、これは字面以上の意味を持っています。

 

グレアムさんによると、投資信託のような間接的な投資をするメリットには、

 

・セールスマンの口車に乗せられて二流・三流の証券を購入する可能性を排除できる。

 

・投機的な取引を抑制できる。

 

と言った事柄があると述べています。

 

そしてそれ故、

自己の資金を直接投資するよりも、たとえ手数料をはらってもより堅実に投資できる投資信託にメリットはありますし、直接投資するよりも多くの利益を結果的に得られる可能性はあります。

 

しかし、

グレアムさんはファンドにおける注意点も多く存在していると言います。

 

一つずつ見ていきましょう。

 

平均以上のファンド

平均以上の収益を生み出すファンドを探す投資家に対してグレアムさんは、その考え方の危険性を指摘しています。

 

平均以上のファンドというものは存在するのだろうか?そして投資家は優れた成果を得るべくそうしたファンドを選択できるのだろうか?もちろんそれは望むべくもない。もしそれが出来るのなら、われわれはまだだれも他人以上の成果を上げていない出発点に即座に戻るだろう。(P403)

 

要約すると、

平均以上の収益を生み出せるファンドがあるのならみんなが購入するし、みんなが購入するならそれは平均以上とは言えないだろうという事でしょうか。

 

しかし、

ここでこのような意見を持つ方もいるでしょう。

 

いやいや、運用成績を見れば市場平均を上回っているファンドなんてあるじゃないか。

 

その通りです、しかし『新・賢明なる投資家』内で指摘されている事の一つは、人間は心理性向として「短期間の成果から長期間の成果の予測が出来ると思う傾向」があることです。

 

どうしていままで市場平均を上回っていたからと言って、今後も市場平均を上回っていく事が出来ると考えるのかと問いかけているわけです。

 

具体的に理解していただくために同書内のデータを参照させていただくと、2003年以前にインデックスファンドをアウトパフォームしたファンドは一年目のファンドで全体の48.9%だったのが10年目では全体の31.2%、20年目では全体の14.9%となっていて、まさしく過去において市場平均を上回っていたことが将来においてもそのパフォーマンスを維持できる理由にはならないことが分かります。

 

安定して市場平均を超える運用成績を出すファンドも存在している事には存在しています。

 

しかし、

皆さんがファンドに手を出す前にきちんと認識しておかなくてはいけない事は、ほとんどすべてのファンドは市場平均には及ばないし、手数料や税金などの負担を要し、パフォーマンスにばらつきがあることです。

 

もちろん、

一定期間、好成績を収めることはあるかもしれません。

 

しかし、

その場合は、ファンドの運用責任者がとった不当な投機的リスクに足を掴まれていないだけであり、近いうちに市場の波に飲み込まれてしまうパターンがほとんどなのです。

 

大規模・高手数料のファンドは安全か?

ナルホド、投資信託・ファンドにはそのような危険性があるのですね。

 

でもそれなら、

そのようなファンドを避けるために、たくさんの人が参加している大きな会社で、かつ高いサービスを得るために高めの手数料もケチらないで払えばいいのではないではないか。

 

と、考えてしまう方もいるのではないでしょうか?

 

しかし、チョットまったー!!

 

とこの本には書いてあります。

 

歴史的に見て、どのようなファンドに関する研究においても共通の認識として言われていることがあります。

 

・ファンドの費用が増大するにつれリターンは減少する

・ファンドが株式を購入する回数を増やすとリターンが減少する

 

いや、これもまた当たり前やがな

 

とお思いになると思いますが、聞いてください。

 

この二つが、大きなファンドや高い手数料のファンドに対して資金を投じることの注意点に気づかせてくれているのです。

 

コスト増大

株式は買い手と売り手のマッチの難しさから、基本的に小口よりも大口のほうが取引コストが大きくなります。

 

純資産額が増えるにつれ、ファンドの運用に関わる他のコストはめったに下がらないー逆に上昇することもある。運転費用が平均1.5%、取引コストが平均2%前後だとすると主要ファンドはコスト込みで年間3.5%市場を上回らないと採算が取れないのだ。(P429)

 

ファンドの規模が大きくなることがファンドの収益を潰すことになる主な理由の一つですね。

 

安全志向

ファンドが大きくなると運用担当者の行動は安定・安全志向に向かうと言われています。多くの人がファンドに参加することによってファンドの運用者は多額の手数料を獲得することが出来るようになるので、市場において今までと同じリスクをとる理由がなくなるのです。

 

しかし、

それ故、そのファンドは高いリターンを実現することが余計に難しくなっていきます。

 

最初に高い収益を上げようとして運用担当者がとったリスクも、ここまでくると[ファンドが大きくなると]投資家を遠ざけてしまう事になる―またせっかくの多額の手数料も台無しになってしまう。だから最大規模のファンドはどれもうり二つの太った羊のようになってしまい、動きもとにかく鈍く、融通が利かず、どれもただ「メーメー」と鳴いてるだけになってしまうのだ。(P429~430)

 

平均以上を目指すファンドも手数料という甘い蜜を吸うために、リターンを削るようになっていってしまうのですね。平均以上のリターンを目指すならここらが手の引きどころなのかもしれませんね。

 

ファンドの危険信号

『新・賢明なる投資家』においては、ファンドに対する危険信号が書いてあったので簡単にまとめておきたいと思います。

 

唐突で著しい戦略変更:

 これはもう、あなたが別のファンドに乗り換えたのと同じこと。 

 

コストの増大:

 運用側の利益を優先している可能性

 

多額の税金を頻繁に:

 取引回数増加=コスト増加の可能性

 

収益率の乱高下:

 投機的運用の可能性

 

 

まとめ

 

・ファンドは間接取引のメリットは受けられる

 

・殆どのファンドは市場に勝つことはない

 

・ファンドは大きくなるにつれて運用が難しくなる

 

・危険信号を目印に見直しを

 

 

 ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

備忘録⑪はこちらから!!

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