リスクマネジメントとは?リスクの意味・種類とマネジメント手法

 

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リスクマネジメントとは、そんな疑問をもつ人へ

「この記事では、リスクマネジメントについて、その意味や実際にどのように行われているのかについて見ていきます。」

 

 

 

リスクマネジメントとは?

リスクマネジメント(Risk Management)とは、リスクの適切な管理によって、個人の効用(自己の消費する財から受ける満足の度合い)や企業価値を最大化することを目的とした、意思決定プロセスです。

何かを得るためには、何かしらリスクを取らなくてはいけないのがビジネスというものです。例えば、工場の生産能力を上げるために設備に多くのお金を投じることは、会社にとっていい事でもあり、リスクでもあるわけですよね.

リスクマネジメントとは、そうした経済活動の中で、

「どれぐらいのリスクは許容するべきなのか?」

「今は、リスクを取るべきタイミングなのか?」

こういったことを、判断していく活動なわけです。

 

日本では、長い間業界内での自由競争を規制するような仕組みが存在していたり、企業系列、株式持ち合いによる、組織的な取引関係の形成を通じて、個々の企業を取り巻くリスクの軽減が行われてきました。

しかし、情報・金融技術の発展、グローバル化規制緩和といった時代の流れを背景に、従来の方法によるリスク軽減がうまく機能しなくなってきたのです。

加えて、現在の社会においては自然災害、テロ行為、サイバー犯罪など、企業・個人を問わず対処しなくてはいけないリスクが多様化・高度化・複雑化しているのです。

そういったリスクへの対処のために、近年その重要性がクローズアップされているのが、確率論やファイナンス理論、経済学と言った知識をベースに形作られた、リスクマネジメントなのです。

 

リスクの種類

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 リスクとは、結果が不確実な場合を一般的には意味しますが、より具体的には期待値に対する結果のばらつきの程度、あるいは損失の期待値という風に言えるでしょう。

そしてその種類には様々なものが存在していますが。

まずは、大まかに2種類。

純粋リスク投機的リスクを見ていきます。

純粋リスクとは、損失の可能性のみを考慮したリスクであり具体的には、火災などや災害による財産の喪失や、損害賠償請求による賠償金の支払いといったケースを指します。

 

これに対し、投機的リスクとは、損失だけではなく利益も考慮したリスクを指し。為替変動や金利変動と言った経済的要因によって損益がるケースを指しています。

 

伝統的に、純粋リスクに対しては保険によってリスクをカバーし、投機的リスクに関しては保険によってそのリスクをカバーすることは難しいと言われています。

 

企業の直面するリスク

企業が直面するリスクには価格リスク信用リスクが存在します。

価格リスクとは(市場リスク)は、価格の変動によって生じるリスクであり、その変動要因によって主に3種類に分けられています。

石油価格や家電価格など、財・サービスの価格そのものが変動している場合は、商品価格リスクと呼ばれ、為替レートの変動によって引き起こされる場合は為替リスク金利変動によるものを金利リスクと呼びます。

信用リスクは、売買契約の成立後において売買相手方が破綻するなどして代金の回収が行えないなどの損失が出てしまうリスクを指します。

 

直接損失と間接損失

リスクが顕在化した時の損失には、直接損失間接損失があります。

直接損失とは、一つの事故等から直接生じる損失です。

間接損失とは、直接損失が生じた結果、間接的に生じるです。

例えば、工場火災が発生した場合には工場そのものの損傷や在庫品の損失と言った直接損失に加えて、工場が復旧するまでの営業損失や操業停止による取引先への債務の不履行など、が間接損失にあたります。

 こうした場合に備え、企業は事業継続計画(BCP)の作成をして、自然災害等の緊急事態に実際に直面した場合に、中核事業の継続あるいは、早期復旧のための取るべき活動や手続きをあらかじめ取り決めておく必要があるのです。

リスクマネジメントの意思決定プロセス

リスクマネジメントは、以下のプロセスによって行われることが多いです。 

  1. リスク認識
  2. リスク分析
  3. 手法選択
  4. 実行
  5. モニタリング

 

第一段階のリスク認識は、リスクマネジメントの中で最も重要な部分と言っても過言でないでしょう。実際にリスクの認識を行う場合には、会社の財務データを活用する方法だけではなく、会社の各部門の担当者へのヒアリングなどが活用されています。

第二段階は、認識されたリスクの分析・評価を行います。一般的にこの段階では、リス

クの定量化が行われます。その為、金融工学の発展はリスク分析に大きな影響を与えています。リスク定量化の代表的な方法としては、バリュー・アット・リスクと呼ばれるものがあります。

これは、一定期間後における、被る可能性のある損失の最大値を求めようとする考え方です。

また、認識されたリスクの全体像を把握するための方法には、リスクマップと呼ばれるものがあります。

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 これは、損失発生の頻度と強度を軸としてマッピングすることで、リスクを分類、整理し、第三段階におけるリスクのマネジメントの手法選択において有益な情報を提供します。選択された手法が実行された(第四段階)後は、その結果をモニタリングしその内容を顧みることで、次のリスクマネジメントへつなげていきます。

 

もちろん、このようなプロセスを企業内できちんと行っていくには、組織の横断なコミュニケーションが不可欠です。その為、リスクマネージャーやリスク管理責任者などの専門者や専門部門を編成している企業もあります。

 

リスクマネジメントの手法

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画像:https://www.moneylook.jp/contents/prepare/summary/1.html

 

リスクマネジメントの手法は主に、リスクコントロールとリスクファイナンシングの二種類に分けることが出来ます。

 

リスクコントロール

リスクコントロールとは、発生するであろう損失の頻度や予想される損失の大きさそのものを軽減するような取り組みを指します。

そして、リスクコントロールもまた、発生する損失の頻度の程度を減少させる損失予防と、発生するであろう損失の大きさを減少させる損失低減に分けられます。

損失予防の例としては、電車の女性専用車両が分かりやすいでしょう。痴漢などのトラブルは駅員の作業量を増やすことだけではなく、時には電車のダイアにも影響を与えうるものです。その為、女性専用車両の導入によって、発生する損失の頻度を抑え込むこむことで、リスクに対処しているのです。損失低減に関しては、校舎の耐震工事が良い例でしょう。2011年の東日本大震災の後、日本では顕著に耐震工事が全国で行われました。これは、震災が再び起こった時に、校舎の倒壊を防ぐななどして被害の拡大を抑える効果があるのです。

 

リスクファイナンス

リスクファイナンスとは、発生した損失を埋め合わせるための資金を入手する手法の総称を指します。

一般に、リスクファイナンス保有と移転に分類されます。

保有とは、損失の一部または全部の支払いについて、個人や企業が自ら責任を持ち続けることを言います。例えば、企業が生み出すキャッシュフローを社内に蓄積(準備金・引当金)しておく事や、事後的に損失を回復するために外部から資金を調達する場合(銀行借り入れ、社債発行)があります。

多方、移転とは企業が保険やデリバティブ等の手段を用いて、リスクを保険会社や資本市場の投資家などの第三者に移転することを指します。

代表例としては、保険になりますが、それ以外の方法としてはデリバティブが利用されます。デリバティブとは、農作物や商品、債券、株式、通貨、金利などの取引対象となる資産(原資産)の価値に依存して、その価格が決定される契約のことを指します。

デリバティブには、主に以下の種類があります。

 

先渡し取引

将来のある時点に、あらかじめ定めた価格で、ある特定の商品を売買する予約取引のこと。先物取引とは異なり、取引所取引ではなく、相対取引(店頭取引)となり、現物決済が原則である。

 

先物取引

ある特定の商品を対象として、あらかじめ決められた受渡日に、取引現時点で決めた約定価格で売買することを約束する契約を先物取引という。通常、価格の上昇を予測すれば買い注文を出し、反対に下落を予測すれば売り注文を出す。先物取引の対象には、株価指数や債券、貴金属、石油、農産物などがある。 

 

オプション

ある商品を、将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で買う権利、又は売る権利を売買する取引のことをさす。 

引用:野村証券

 

 より詳しく知りたいあなたへ

ここまで、リスクマネジメントの基本について見てきました。

もし、より深く知るたいと思う方がいました、以下の本をチェックしてみてください。

 

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。