『新・賢明なる投資家』備忘録③第二章(投資家とインフレーション)

皆さんこんにちは、

今回は『新・賢明なる投資家』の備忘録③ということで、第二章(投資家とインフレーション)をまとめていきます。

 

備忘録①は以下よりどうぞ!

jeconomy.hatenablog.com

 

第二章:投資家とインフレーション

『新・賢明なる投資家』の第二章では投資家とインフレーションの関係についてまとめられています。

 

大事なポイントをサクッとまとめていきましょう!

 

どうしてインフレーション対策が必要であるのか?

インフレ対策についてあれこれ言う前に、なぜ投資家がインフレ対策をしておかなければならないのかについて簡単に説明しておきます。

 

皆さんはインフレとはどのような状態であるのかご存知でしょうか?

 

インフレとは、わたしたちの身の回りのモノやサービスの価格が、ある期間において持続的に上昇する経済現象の事を指しています。

 

いや、知ってる(笑)

 

という方も多いとは思います。

 

しかし、このインフレに関してきちんと持っておいていただきたい感覚は、物価の上昇は貨幣価値の下落も意味すると言う事です。

 

では、この貨幣価値の下落は投資にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

 

例として、国債を考えてみましょう!

 

まずは、インフレを考慮にいれない場合です。

あなたは、固定金利型10年国債金利1%)を100万円分購入しました。

この時、あなたは10年後、総額110万円を手にすることになります。(これはインフレを考慮しようがしまいが、額面上変わることはありません。)

 

次に、インフレ(年率2%)を考慮して計算してみます。年率2%のインフレ時、物価は一年に2%ずつ上昇していきます。これは、上記でも述べた通り、通貨の価値が年に2%ずつ下落しているとも考えられます。つまり、10年後あなたが国債金利を含め110万円を手にしたとしても、その110万円は10年前における約90万円の価値しかないわけです。

 

同じようなことが明治時代と今の通貨価値にも言えます。

 

現在の物価は、明治時代(明治30年頃)と比べて、約3800倍と言われています。

つまり、明治時代の時の1円は、今でいうところの3800円ほどの価値があったことになります。

しかし、あなたが明治時代に1円を持っていても、それを現在の社会で3800円として使うことはできないですよね。あくまでも、1円としての価値しかないわけです。

 

これに加えて、

債権そのものの価格変動もあります。

債権とは確定利付商品であり、金利が上昇すれば債券の価格は下落し、金利が下落すれば価格は上昇するというトレードオフの関係にあります。

 

インフレ時には金利が上昇するので、結果的に債券価格の下落が引き起こされてしまいます。

 

このように、

インフレ(物価上昇・貨幣価値下落)とは投資収益に非常に大きな影響を持っているのです。

そしてそれ故、投資をする際にはインフレの影響を考えて対策をしておく必要性があるわけです。

 

インフレ対策は株式?

それではお待たせしました、実際に『新・賢明なる投資家』の内容に入っていきましょう。

 

第二章では、株式が国債よりも優秀な投資先であるという投資界につたわる神話からスタートしています。

 

上でも述べた通り、国債はインフレ時には魅力的な投資先とは言えない。

では、何を買えばいいのか?

 

株式の購入が一つの方法としてあげられます。

 

理由は、

インフレ時の物価上昇はそれに応じる企業の資産価値増大や販売価格の上昇による売上・利益の増加を引き起こし、株主は配当金や持ち株の価格上昇によってインフレの影響を相殺できると考えられるからです。

 

となると以下のような疑問もわいてくるわけです。

 

実際、インフレの保護機能や株式の高リターン(債券と比べて)を考えると債権と株式に分散投資するよりは株式だけの方がよさそうではないか?

 

しかし、この疑問に対してちょっとまったー!

 

とグレアムさんは言います。

 

まず、グレアムさんは株式が債券よりもより多くの収益を上げる可能性があり、実際にそうであったことは調査に基づいて認めています。

 

しかし、それは未来においても確かにそうなんですかぁあ˝?

 

と問うわけです。

 

以下二つの時間的要素を挙げています。

 

  1. 今後、長期的な未来に渡って何が起こり得るのか?
  2. 今後の、5年以内の短・中期的な未来において投資家に財政的・心理的に何が起こり得るのか?

 

グレアムさんは、これら要素を踏まえ、このような言葉を残しています。

 

「投資家は考え方、希望、不安、達成感や不満、そしてとりわけ次に何をするべきかという決定を、投資人生を回顧することからではなく、一年一年と積み重ねる経験によって導き出すのだ」(P106)

 

ん??

どゆこと??

 

って筆者も最初なりましたが、

 

要は、

今までの事を全体的に鑑みてこういった傾向があったよね。

という、考え方ではなく、全体的にこのような傾向があるけど、こう言う場合やあの時はそうでなかったよね。

のように、

法則化・公式化して考えるのではなく、あくまでも一般的傾向としてに止め、そうではない場合もきちんと考えなさいよという事なんですよね。

 

実際、

同書では上の言葉のすぐ後に、インフレ状態と株価やその収益変動との間には密接な関係がないという事を言っているんです。

 

株式が債券に比べてインフレに強く、高リターンな投資先なのかもしれない。

でもそうだと確約できるような理由はなに一つもないんです。

 

グレアムの主張

ここまで見てきたとおり、未来なんてわからないよという案外シンプルで、みんな分かっているようなことをグレアムさんはことさら主張するわけです。

 

しかし、

だからこそインフレ対策や今までの収益(リターン)的にみて株式が債券よりも魅力的に見えようが、そこに一点賭けをすることはしないでくださいと言うのです。

 

株式が債券よりもリターンを狙えそうであるのと同時に、債券は株式に比べてリスクが低そうなのです。

しかし、大規模なインフレの懸念があるし、収益も債券だけでは厳しそうなので株式も保有しておくのです。

 

これは債権の保険として株式を購入しているのとは少し違います。株式が債権のインフレにおける保険となる保証はないのです。

 

ただ、

株式は債券よりは高い確率でインフレに勝てると言うだけの話です。

 

グレアム以後の金融商品(インフレ対策)

グレアムの著作が発表された後に、株式以外のインフレ対策として注目された金融商品も存在している。

 

不動産投資信託(REIT)

REITは会社型の投資信託で、不動産投資会社が投資家から集めた資金をマンションやビルなどの不動産に投資し、賃貸収入や売却収入での利益を投資家に還元する仕組みです。

 

通常、

投資用の不動産購入には莫大な資金が必要となりますが、REITの場合は(銘柄によっても異なりますが)1口10万円~100万円程度の低コストで始められることや、不動産の維持・管理などの手間がかからないところも魅力となっています。

 

インフレ連動債(TIPS)

インフレ連動国債とは、物価連動国債とも呼ばれますが、消費者物価指数に連動して元本、利率または両方が変化する国債です。

 

物価の変動に合わせて元本や利率が変化するために、受け取れる利息が増減することになります。

 

また、

2013年以降のインフレ変動国債は元本保証がされていますので、資産を守るためには非常に有効な手法の一つです。

 

まとめ

  • インフレの影響を見逃さない
  • 株式の方が債券よりインフレに勝てる可能性は高い
  • でも確実ではない
  • 株式以外のインフレ対策(REIT・TIPS)がある

 

 

ここまで、お読みくださりありがとうございました。